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基礎工事や仮設橋梁を手掛ける高知丸高は、独自技術を武器に海外工事で頼られる会社の1つ。新型コロナウイルスの感染拡大が続いて海外案件が減っても、グローバル市場を見据え続ける。外国人向けの技能教習施設を開くなど、人材育成に力を入れて将来の市場拡大に備える。

 パキスタン中部を走る国道70号。国土の基幹道路でありながら、標高約1500mの山岳区間は道幅が狭い上に急カーブが多く、事故も多発していた。この道路を拡幅改良すべく、2016年から19年にかけて断崖絶壁に橋を架ける難工事が実施された。

 鋼管杭を急斜面に打ち込んで橋脚を施工したのが、専門工事会社の高知丸高(高知市)だ。同社は深さ100m以上の杭打ち工事で国内屈指の実績を有する。パキスタンの現場では、クレーンで吊った橋桁を張り出させて橋脚の位置を定め、鋼管杭を打ち込む工法を採用。地上から橋脚を建てる工法と比べて高所作業を減らして安全を確保した(資料1)。

資料1■ 杭打ち技術を強みに橋梁を施工
資料1■ 杭打ち技術を強みに橋梁を施工
パキスタン国道70号の道路改良工事。高知丸高は下請け会社として鋼管橋脚などを施工した(写真:高知丸高)
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国内で施工中の建設現場の仮設桟橋。長尺の鋼製橋桁を開発し、杭の本数を減らした(写真:高知丸高)
国内で施工中の建設現場の仮設桟橋。長尺の鋼製橋桁を開発し、杭の本数を減らした(写真:高知丸高)
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 高い技術力を武器に、同社は海外工事でも頼られる場面が多い。パキスタンでの難工事を終えてもすぐに、新規の海外案件が舞い込んできた。パキスタンの現場に携わった日本人社員も、再び海外へ赴任することに合意していた。そんな矢先に起こったのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。複数の海外案件が中断し、2年半近くが経過した。