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23年の賃上げを今から表明

 オリエンタルコンサルタンツは21年10月、ベアを実施しなかったものの正社員の給与総額で3.5%と高い賃上げを実現した。定期昇給だけでは3%に満たないが、21年は一般職から基本給の高い幹部職に昇格した社員が多かったため、給与総額が増えたという。

 賃上げ加点の評価対象期間は、入札時に参加者が設定する。22年に契約する案件の場合、3月決算の会社が事業年度を選べば22年度が対象となる。12月決算の会社は、事業年度を選ぶと23年が対象となる。

 対象期間がまだ先のことになると、どこまで賃上げできるか判断が難しい。それでも、回答があった17社のうち14社が国交省の賃上げ加点を受けると答えた。

 加点を受ける際には、賃上げについて従業員への周知が求められる。そのため、多くの会社が「3%引き上げることは決まっている」と明言する。ところが、「平均賃金3%以上の引き上げ実現に向けて、その方法を検討中」(長大)など、具体策はおぼつかない。

 前述のオリエンタルコンサルタンツのように、多くの会社は定期昇給だけでは3%にならないので、他の増額と組み合わせないと実現は難しい。オリエンタルコンサルタンツでは、定期昇給と手当、ベースアップを総合的に考えて約束通りの賃上げを実施する予定だという。

 具体的な賃上げの内容については、今後の組合との交渉に与える影響などを考えて回答を控えた会社が多かった。他社に先駆け、22年2月10日に3%の賃上げを公言した八千代エンジニヤリングも、日経コンストラクションのアンケートに対して賃上げ率などの回答はなかった。

 12月決算のいであは23年を賃上げの評価対象期間に選んだ。事業年度ではなく暦年を選べば22年を対象とすることもできる。あえて不確定要素の大きい23年を選んだということは、22年では3%の達成が難しいと判断した可能性がある。

 賃上げの評価方法について、賞与を含めるかどうかは会社によって判断が分かれた(資料3)。オリエンタルコンサルタンツなど4社は賞与を除いた給与で判断すると回答した。業績に左右される賞与を見込んで賃上げを考えた場合、1年目は3%をクリアできても、2年目3年目と続けられるか分からない。不確かさを残したまま賃上げを表明すれば、将来、経営の足かせになる恐れがある。

資料3■ 賃上げ加点を受けない会社は2社
資料3■ 賃上げ加点を受けない会社は2社
国土交通省が導入した賃上げ加点制度への対応状況。日経コンストラクションのアンケート調査に基づく。「評価方法」は、国交省が賃上げ実績を確認する際に認めている例。次の選択肢から採用する予定の評価方法を選んでもらい、表に○で示した。(1)継続雇用している従業員への支給額で評価(2)再雇用者や育児・介護休暇の取得者など給与水準が変わる者を除いて評価(3)超過勤務手当(残業代)などを除いて評価(4)一時金や賞与などを除いて評価
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 一方で、オリエンタルコンサルタンツグローバル(OCG)と日水コンは、賃上げ加点を断念した。

 資本金1億円の日水コンは「中小企業等」に分類されるので、1.5%の賃上げで加点を受けられる。それでも断念したのは、21年4月にモデル賃金で4.5%もの大きな賃上げを実施したためだという。22年4月の賃上げはまだ決まっていないが、前年度ほどの大きな賃上げは望めない。22年度の従業員1人当たりの給与は、むしろ前年度より減る可能性があるという。

 「賃上げが早すぎたのかもしれない」と同社の担当者は肩を落とす。