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業績が回復した企業に3%の賃上げを求めるなど、政府の介入が強まった2022年の「官製春闘」。大手建設会社では、労働組合の要求額を上回るベースアップが相次いだ。政府の意向で導入された賃上げ企業への入札優遇策を、各社とも意識したようだ。

 ベースアップを実施した建設会社20社のうち、10社が労働組合の要求額に上乗せして回答──。準大手・中堅ゼネコンなど35社の労働組合で構成する日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)がまとめた2022年の春闘の結果だ。22年4月に始まった国土交通省の賃上げ加点制度の影響が大きいとみられる。

 日建協が会員組合を対象に調査した22年度の賃上げ状況によると、22年6月7日時点で妥結したのは26社。そのうち20社がベアを実施した(資料1)。21年の春闘でベアを実施したのは11社だったので、2倍近くに増えている。

資料1■ ベアを実施した企業の半分が組合要求に上乗せ
資料1■ ベアを実施した企業の半分が組合要求に上乗せ
日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)に加盟する建設会社の労働組合による2022年賃金交渉の状況。22年6月7日時点で35社中26社が妥結した。日建協の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 日建協の羽田野祥一政策企画局次長は、「22年の春闘では、要求に先立って会社側からベアの逆提示を受けた労働組合があった。これは珍しい事例で、入札の加点制度が影響したのは間違いない」と話す。

 ベア未実施の会社でも、加点制度の基準に達するように一時金の増額を検討しているという。「秋季や冬季の一時金交渉で増額の動きが出てくるのではないか」(羽田野次長)

 初任給の引き上げも目立つ。22年に大卒初任給を増額したのは13社。それら全てが5000円以上アップした。中には1万1000円上げた企業もあった。初任給の引き上げが1社もなかった21年から様変わりした。

 これに伴い、日建協が大卒初任給の理想的な水準と見なす24万円を10社が超えた。21年までは24万円を超える会社はなかった。