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人材不足が深刻な地方では、若手を採用するためにも給料の引き上げが欠かせない。事業量を確保できている地場の大手では、10年連続でベースアップをする会社もある。一方で中小は、人件費の上昇などを懸念して賃上げになかなか踏み切れないのが実情だ。

 全国展開する建設会社に限らず、地方でも毎年3%を超える賃上げを実施する会社はある。特に、人材を東京に取られがちな地方では、若手を採用するためにも給与アップなどの待遇改善が求められる。

 北海道内の大手で、10年連続のベースアップ(ベア)を実施しているのが、中山組(札幌市)だ(資料1)。新卒も毎年確保している。

資料1■ 10年連続でベア実施
資料1■ 10年連続でベア実施
中山組の社員の賃上げ状況。2013年度から毎年、定期昇給とベースアップを合わせて3%前後の賃上げを実施している。中山組の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 同社は2022年度、社員約230人を対象にベアと定期昇給を合わせて平均3.9%の賃上げを実施した。ここ10年間でベア率は上昇傾向にあり、給与制度を見直した20年度を除けば、22年度の1.7%が最も高い。定昇も2%前後を維持している。

 ベアに合わせて、初任給も引き上げている。12年度の大卒の初任給は19万4550円だったが、毎年数千円ずつ増額。22年度には22万3650円とした。

 中山組の澤向弘光専務は「継続的に賃上げしているが、会社の経営は圧迫していない」と話す。ICT(情報通信技術)の活用などで現場の生産性向上を進めており、販管費は5%程度に抑えられている。

 同社が社員の待遇改善に力を入れる目的の1つが、人材の確保だ。澤向専務は「建設業の志望者がなかなか集まらない。ただでさえ少ない土木部門の学生を多くの会社で取り合っている」と打ち明ける。

 道内大手では他にも、伊藤組土建(札幌市)が22年度に9年連続となるベアを実施した。北海道建設業協会の渡部明雄常務理事は「国土強靱化などで一定の公共事業予算が確保されている。そのため、道内の大手にはまだ余力があり、賃上げにつながっている」とみる。

 一方で中小の建設会社は、賃上げに踏み切れないのが実情だ。「賃上げすると人件費がかさんで利益率が下がる。人件費削減のためにICTで業務効率化を図りたいところだが、初期投資が必要で導入をためらう声が上がる」(渡部常務理事)