2014年度以降、全国で始まった高速道路の特定更新事業。交通量の少ない路線で更新や修繕を手掛けることが多かったが、近年は重交通路線など難条件下での工事が増えてきた。建設会社各社は数々の現場で経験を積み、開発した技術を引っ提げ、いざ特定更新の“本丸”へと乗り出す。

高速道路大改造 いざ本丸へ
目次
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全国で進む高速道路リニューアル、「重交通路線」の難所へ続々と挑む
全国の主な高速道路会社への取材で、特定更新事業の進捗が2~5割に到達していることが分かった。これまでの更新工事で培ったノウハウや新しく生まれた技術を駆使して、交通量の多い路線を対象にした工事に挑む段階に入ってきた。
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動き出した首都高地下化、河川上の狭い空間で進む桁撤去
日本橋区間地下化(首都高速道路)
首都高速道路会社は首都高都心環状線の日本橋区間を地下に移す工事の一環で、メインのトンネル工事に先駆け、江戸橋出入り口の橋桁の撤去現場を公開した。10万台が通る環状線を生かしながら川の上の狭い空間で撤去を進める難施工に挑む。
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高速道路で異例の3年間通行止め、一般道への影響抑える“集中工事”
14号松原線喜連瓜破付近の高架橋(阪神高速道路)
阪神高速道路会社は交通量が多い交差点の高架橋を架け替えるため、高速道路の一部区間を約3年間通行止めにしている。既設橋を上空で撤去し、新たな桁を夜間に一括架設することなどで、一般道路への影響を最小限に抑えられる工法を採用。長めの“集中工事”が始まった。
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見たことのない施工法が目白押し、「せり上がる」桁や縦・横取り架設
中国自動車道吹田JCT-中国池田IC間(西日本高速道路)
50年が経過した中国自動車道で大規模なリニューアル工事が進む。2年間で6回通行止めにして、約5km分の高速道路を架け替えている。国内初となるジャッキアップ工法や鉄道上での縦取り・横取りを駆使した工法など、見たことのない施工法が満載の路線だ。
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「7万台路線」での床版更新、橋脚の改造で3重の防音設備
中国自動車道中国池田IC-宝塚IC間(西日本高速道路)
中国自動車道リニューアル工事では、区間によって工事の様相が全く異なる。中国池田IC(インターチェンジ)-宝塚IC間では、上下6車線のうち4車線を確保しながらの分割施工を実施。住宅が密集する区間では多重の騒音対策を講じて、橋脚を改造する工事が進んでいる。
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渋滞緩和や長寿命化、突き付けられた課題を技術で克服
最小限の車線規制、急速施工、供用中の改造──。工事に伴う渋滞の影響を最小化するため、高速道路の更新・修繕事業では様々な技術が開発されてきた。さらに将来を見据えて、更新時に高耐久化、高品質化を目指す動きも見られる。特定更新で生まれた技術を総ざらいする。
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羽田トンネルなど新規事業が浮上、工事費確保へ料金徴収期間を再延長か
首都高速道路会社は現在の大規模修繕の完了を見据え、当初計画にはなかった「第2期」の大規模更新・修繕に向けた検討を進めている。有識者でつくる委員会(委員長:前川宏一・横浜国立大学大学院教授)で2022年末をめどに第2期の方針を決めるが、事業費の捻出など課題は多い。