50年が経過した中国自動車道で大規模なリニューアル工事が進む。2年間で6回通行止めにして、約5km分の高速道路を架け替えている。国内初となるジャッキアップ工法や鉄道上での縦取り・横取りを駆使した工法など、見たことのない施工法が満載の路線だ。
1970年の大阪万博を機に開通した中国自動車道の吹田JCT(ジャンクション)─中国池田IC(インターチェンジ)間の特定更新工事が、様々な点で注目を集めている(資料1)。
まず重交通路線にもかかわらず、上下線で終日通行止めにして工事を実施している点だ。同区間は上下合わせて4車線で、約5万台の交通量を誇る。
対面の交通規制では工事が長期化し慢性的な渋滞を助長しかねないことや、新名神高速道路が迂回路として機能することなどを理由に、交通量がそれほど多くない時期を狙って、1回当たり約1.5カ月間の上下線終日通行止めを約2年で6回実施する計画だ(資料2)。
続いて施工数量。総施工延長は約5km。60連198径間の橋梁を更新する。取り換える床版面積は4万6000m2、鋼桁重量は1万8500tと途方もなく多い。
「これまで経験したことのない大規模更新の規模。それだけにかなりの数の作業員が必要だ。ただし1.5カ月だけのために招集するには限界があった。一時的に集中する作業量の山をならすことが課題だった」。吹田JCT─中国池田IC間の橋梁更新工事を担当するJFEエンジニアリング・MMB(エム・エムブリッジ)・川田工業・宮地エンジニアリング・ピーエス三菱JVの稲村康所長は、こう話す。