最小限の車線規制、急速施工、供用中の改造──。工事に伴う渋滞の影響を最小化するため、高速道路の更新・修繕事業では様々な技術が開発されてきた。さらに将来を見据えて、更新時に高耐久化、高品質化を目指す動きも見られる。特定更新で生まれた技術を総ざらいする。
特定更新事業で大きく進化した技術とは──。高速道路会社の技術担当者を取材して、最も多かった回答は車線規制による限られた範囲内で床版など構造物の撤去・設置をこなす技術だった。事業の必要に迫られて、建設会社などが様々な工法を開発してきた(資料1)。
事業開始当初は、余裕を持って2車線の規制の範囲内で床版を取り換える工法が主流だったが、最近では1車線規制の範囲内で更新する技術を各社が生み出している。
中央自動車道の弓振川橋の床版取り換えでは、中日本高速道路会社と大林組が共同で開発した「DAYFREE(デイフリー)」工法を採用した。夜間の1車線だけの規制で工事を進められる(資料2)。
具体的には1夜間目で既設床版、桁の付着物を撤去して、仮設床版を設置し仮舗装。翌朝開放して、2夜間目に仮設床版を撤去して、新しい床版を架設。防水・舗装して翌朝に開放できる。
鹿島も1車線のみの規制で床版を更新する技術を開発した。「幅員方向分割SDR(スマート床版更新)システム」だ(資料3)。1日7時間程度の作業時間で、延長60mの床版を取り換えられる。
交通を規制している車線の床版と隣接する供用路線の床版との接合部では品質を低下させないために、プレート型の継ぎ手を採用。PC(プレストレストコンクリート)鋼棒で仮接合して一体化する。
また工事エリアへの一般車両の誤進入を防ぐため、幅30cm程度の狭い占用範囲でも設置できる特殊な防護柵も同時に開発した。
床版架設機・撤去機は、10tトラックと15tトレーラーで運べる仕様にした。クレーンを使わず、安全かつ高速に組み立て、撤去できるよう留意したという。