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首都高速道路会社は現在の大規模修繕の完了を見据え、当初計画にはなかった「第2期」の大規模更新・修繕に向けた検討を進めている。有識者でつくる委員会(委員長:前川宏一・横浜国立大学大学院教授)で2022年末をめどに第2期の方針を決めるが、事業費の捻出など課題は多い。

 首都高速道路会社は委員会での検討に併せて、第2期の有力候補の橋やトンネルで損傷状況を報道陣に公開している。現在の大規模修繕が終わる2024年度に、次の大規模更新・修繕事業を開始したい考えだ。

 22年5月20日には、湾岸線の荒川湾岸橋を公開した(資料1)。この橋は、1975年に完成した橋長840mの鋼7径間ゲルバートラス橋。中央の径間が、両側の橋脚から張り出したトラス構造の端部に長さ70mの箱桁を載せたゲルバー構造になっている。

資料1■ 「第2期」大規模修繕の有力候補の荒川湾岸橋(写真:日経コンストラクション)
資料1■ 「第2期」大規模修繕の有力候補の荒川湾岸橋(写真:日経コンストラクション)
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ガセットプレートの破断が生じている(写真:日経コンストラクション)
ガセットプレートの破断が生じている(写真:日経コンストラクション)
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ボルトの抜け落ちが生じている(写真:日経コンストラクション)
ボルトの抜け落ちが生じている(写真:日経コンストラクション)
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 現在、荒川湾岸橋には西側の橋台から中央径間にあるトラス構造の端部まで結ぶ吊り足場を組んでいる。トラス構造の端部付近で見つかったガセットプレートの破断を補修するために架けたものだ。5月20日の現地公開では、この足場を使って鋼材などの損傷を確認した。

 ガセットプレートとは、鋼材同士を接合するための鋼板だ。破断箇所以外に、F11T高力ボルトの遅れ破壊による抜け落ちも見られた。鋼材の塗装があちこちで剥がれ、腐食が目立つ。亀裂や破断などの損傷は、橋全体で376カ所に及ぶ。

 荒川湾岸橋では今後、破断したガセットプレートや高力ボルトの交換などを進める。このような損傷に応じた対処は、通常の補修という位置付けだ。しかし、完成から47年を経た荒川湾岸橋は老朽化が激しく、個別対応の補修だけでは橋全体の健全性を保てなくなりつつある。そのため、大規模修繕の候補に挙がった。