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これまで建築と比べて堅調だった土木部門に異変が起こった。2021年度に期末を迎えた決算期では、土木で減収の会社が増収の会社の数を上回った。特に売上高の規模が比較的大きい企業で、土木の減収が目立つ。

 2012年度以降、毎年、減収の会社よりも増収の会社の方が多い状態を続けてきた土木部門に異変が表れた。全国の主要建設会社を対象とした日経コンストラクション調査によれば、21年度に期末を迎えた決算で土木の売上高を前期よりも増やした会社の割合が37%に落ち込んだのだ。20年度の57%から20ポイント低下した。

 20年度に期末を迎えた決算で、一足早く増収会社の割合が前期から26ポイント減の35%に落ち込んでいた建築部門は、21年度は46%に持ち直している。

 土木の売上高で上位20社を占める建設会社のうち、減収の会社は14社に上る(資料1)。20年度に期末を迎えた決算を対象とした前回調査では、上位20社中11社が減収だった。今回は減収会社が3社増えたうえ、前期比で10%以上売上高を減らした会社が3社から6社に倍増した。

資料1■ 土木売上高上位20社中14社が減収
資料1■ 土木売上高上位20社中14社が減収
2021年4月~22年3月に期末を迎えた決算期(単体)を対象とした土木の売上高上位20社。NIPPOはグループ会社を含む「個別業績」の数値。カッコ内は対前期増減率(%)。日経コンストラクション調査を基に作成
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 土木の減収傾向は、比較的規模の大きい会社に強く表れている。土木の売上高が100億円以上の会社に限ると、土木が減収だった会社の割合は69%に上る。100億円未満の会社を15ポイント上回った(資料2)。

資料2■ 土木売上高100億円以上は減収傾向が顕著
資料2■ 土木売上高100億円以上は減収傾向が顕著
土木の売上高が100億円以上の108社と100億円未満の80社について、それぞれ土木売上高が前期比で「増収」と「減収」の会社の割合を示した。日経コンストラクション調査を基に作成
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 土木で減収となった建設会社の中には、自社特有の事情との認識を示すところもある。

 例えば、熊谷組は土木売上高が前期比22.5%減で、20位以内の会社では最大の減収だった。22年3月期決算について、「繰越高の減少に加え、複数の国内土木工事が技術上の問題による工法の変更などで中断し、完成工事高が減少した」(広報グループ)と説明している。

 売上高の先行指標となる受注高でも上位の会社の不振が目立つ(資料3、4)。土木受注高100億円未満の会社の過半が、前期比で増加あるいは横ばいだったのに対し、100億円以上では4割にとどまった。

資料3■ 受注高でも規模の大きい会社は減少傾向
資料3■ 受注高でも規模の大きい会社は減少傾向
土木の受注高が100億円以上の103社と100億円未満の71社について、それぞれ土木受注高が前期比で「増加・横ばい」と「減少」の会社の割合を示した。日経コンストラクション調査を基に作成
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資料4■ 土木受注高は上位15社中11社が前期割れ
資料4■ 土木受注高は上位15社中11社が前期割れ
土木事業の当期受注高の上位15社。カッコ内は対前期増減率(%)。日経コンストラクション調査を基に作成
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 次期の土木売上高の見通しを聞いた設問に関しては、回答企業全体では「横ばい」が53%、「増加」が27%、「減少」が20%だった。この回答も土木売上高が100億円以上か未満かで傾向が異なる。企業規模の小さい後者では3通りの回答が同数ずつだったのに対し、前者では「横ばい」が65%と多かった。市場の前途を不透明とみているようだ。

 国内と比べて新型コロナウイルス禍の影響を強く受けていた海外での土木工事は、落ち着きを取り戻したようだ。政府開発援助(ODA)案件と非ODA案件のいずれでも、売上高上位の会社のほとんどは、前期よりも売り上げを伸ばしていた(資料5)。

資料5■ 海外土木売上高は増収の傾向

[ODA案件]
[ODA案件]
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[非ODA案件]
[非ODA案件]
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海外土木工事の売上高を、ODA案件と非ODA案件に分けてそれぞれ上位10社を示した。カッコ内は対前期増減率(%)。「売上高比率」は、土木の売上高に占める割合。日経コンストラクション調査を基に作成