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大深度地下のシールドトンネル工事が始まったリニア中央新幹線。満を持して、万全の対策を講じたはずのシールド工事で、いきなりトラブルが発生してしまった。調査掘進の段階とはいえ、先が思いやられるスタートとなった。

 リニア中央新幹線の大深度地下トンネル工事で、シールド機の損傷が続く。愛知県ではたて坑のコンクリート製仮壁を切削する際にカッタービットが破損(資料1)。東京都の現場では掘削土に混ぜる添加材の注入設備が故障した。JR東海が2022年8月9日に発表した。

資料1■ 坂下西工区で停止中のシールド機の様子(写真:JR東海)
資料1■ 坂下西工区で停止中のシールド機の様子(写真:JR東海)
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 いずれも、本掘進の前に地上への影響などを検証する「調査掘進」やその準備段階での工事だ。本掘進の開始は23年以降の見込み。

 シールド機が損傷した現場は、愛知県春日井市にあるたて坑「坂下非常口」から名古屋方面に掘り進める坂下西工区と、東京都品川区にあるたて坑「北品川非常口」から南北に掘り進める北品川工区の2つ。

 坂下西工区では、カッタービットが破損した。詳細な原因は分かっていない。施工者は安藤ハザマ・不動テトラ・福田組JVだ。

 この工区では深さ約84mのたて坑から泥水式シールド工法で10.1kmを掘り進める。現場では22年1月から発進設備の構築を進め、7月上旬、掘進に先立って円筒形のたて坑側面にあるコンクリート製の仮壁を試験的に40cm切削したところ、118個あるコンクリート壁用カッタービットのうち外周部の8個と、412個ある地山掘進用カッタービットのうち4個がそれぞれ損傷した(資料2)。JR東海は損傷の原因を、一部のカッタービットに想定以上の荷重が集中したためだとみている。

資料2■ 地山掘進用のカッタービットも損傷
資料2■ 地山掘進用のカッタービットも損傷
カッタービットの損傷状況(出所:JR東海の資料を基に日経クロステックが作成)
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 「専門家の意見を参考にしながら、たて坑の形状や大きさ、シールド機の重量、カッタービットの数・形状、切削時のシールド機の回転数や速度などの影響を調査している」(同社広報部)