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広島高速5号のシールド工事が迷走している。カッターの損傷などで掘進の中断が何度も続き、2022年7月までの工期を迎えても、全体の6割ほどしか掘れていない。有識者からは、日本の建設会社が硬い岩盤を掘り慣れておらず、ノウハウが蓄積されていない点などが指摘される。

 JR広島駅の北側で進む広島高速5号のシールドトンネルの工事が難航している(資料1)。

資料1■ 広島高速5号シールドトンネル工事の起点付近。2022年5月末時点(写真:広島高速道路公社)
資料1■ 広島高速5号シールドトンネル工事の起点付近。2022年5月末時点(写真:広島高速道路公社)
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 広島高速は1号(安芸府中道路)から4号までが供用済み。広島高速5号(延長約4km)はJR広島駅北口と1号を結ぶ路線として、2018年9月に掘削を開始した(資料2)。このうち、施工トラブルが続出しているのは、駅北側の山間部を貫く二葉山トンネル(同約1.4km)の建設工事だ。県と市が出資する広島高速道路公社(以下、広島高速)が発注し、大林組・大成建設・広成建設JVが泥水式シールド工法で施工している。

資料2■ 4路線25kmが供用中の広島高速
資料2■ 4路線25kmが供用中の広島高速
(出所:広島高速道路公社)
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 現地の地山は最大で190N/mm2の一軸圧縮強度を持つ花こう岩だ。受注者は硬い地山にうまく対応できずに、工事ののっけから施工トラブルに見舞われた(資料3)。

資料3■ 掘削開始から施工トラブルが続く
資料3■ 掘削開始から施工トラブルが続く
(出所:広島高速道路公社の資料や取材を基に日経クロステックが作成)
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 掘進を始めてから3カ月後の18年12月、シールド機の面板に取り付けているディスクカッターの一部が破損。5カ月ほど掘削を中断する羽目になった。中心付近にある2枚刃の17インチのディスクカッターで、8個中7個に脱落や変形が見られた(資料45)。面板も深さ18~27cmほどにわたって摩耗が生じていた。面板厚さの3分の1前後に当たる。

資料4■ ツインカッターが大きく破損
資料4■ ツインカッターが大きく破損
面板の損傷状況(出所:広島高速道路公社)
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資料5■ 損傷したツインディスクカッター(写真:広島高速道路公社)
資料5■ 損傷したツインディスクカッター(写真:広島高速道路公社)
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 再発防止策として、掘進管理方法、カッターの固定方法、摩耗・損傷検知装置などを改善。カッターの規模や数は変えずに掘進を再開した。それ以降、長期に及ぶ中断は生じていないが、風化すると粘土化しやすい「粘性土固着」という想定外の地盤の影響などを受けて、何度もカッターを交換した。