建設コンサルタント会社に入社した技術者は通常、トンネルや橋梁など専門の技術をまずしっかりとたたき込まれる。日本工営道路空間技術室の森谷謙一氏(34)はそうしたキャリア形成とは異なり、早々に海外事業でのマネジメント業務に関わることになった。
2013年入社の森谷氏は道路橋梁部に配属された。海外の道路・橋梁について調査、設計、施工監理などを手掛ける部署だ。当初はアシスタントとして道路設計に携わり、1年目の14年2月、ベトナムの山岳道路トンネルの設計チームに加わった。
14年8月からは3年間、ベトナムにあるその山岳道路トンネルの工事現場で施工監理業務に携わることになる。与えられた役割はプロジェクトマネジャ補佐と工程管理だった。森谷氏はそこで「マネジメント技術も橋梁工学や道路工学と横並びの概念だ」と学んだ。
その後、いったん日本に戻り、18年5月からは2年間、インドネシアで高架橋の施工監理業務を担った(資料1)。ここでは、ベトナムで経験した工程管理に加えて、出来高管理のポジションも兼務した。
20年7月にインドネシアから帰国し、現在は道路空間技術室に所属する。日本工営がハイブリッド人材の育成を目指し、国内と国外のそれぞれの事業を手掛けてきた人材をまとめた部署だ。森谷氏も国内業務に関わるようになった。
もちろん海外業務も引き続き担当する。現在はフィリピンの山岳トンネルを主体構造物とする工事で契約管理を担当するポジションに就く。海外事業で様々な立場のマネジメント業務の経験を積み重ねている。