全2940文字
PR

国内の建設投資が伸び悩むなか、M&A(合併・買収)に持続成長の足がかりを求める建設会社や建設コンサルタント会社が急増している。事業承継だけでなく、成長戦略の一環でM&Aを検討する時代になってきた。

 「九州の土木工事会社で譲渡希望額は2億5000万円」「県の入札資格はAランク」「希望条件は従業員の雇用継続」──。日本M&Aセンターの社内起業で発足したバトンズ(東京・中央)が運営するWebサイトには、買い手を呼び込む文言がずらりと並ぶ(資料1)。

資料1■ Web上で事業譲渡の案件を検索・閲覧できる
資料1■ Web上で事業譲渡の案件を検索・閲覧できる
バトンズのWebサイト(画像:バトンズ)
[画像のクリックで拡大表示]

 2022年に同社に登録された建設業界の事業譲渡の案件は10月19日時点で400件を超え、既に21年の年間件数を上回る。土木工事を主に手掛ける会社も増えている(資料2)。

資料2■ 建設業界の事業譲渡案件が急増
資料2■ 建設業界の事業譲渡案件が急増
建設業界の会社がバトンズに事業譲渡案件を登録した件数の推移。2022年は1月1日から10月19日まで。建設業界全体には建設コンサルタントなど設計・測量を手掛ける会社も含む(出所:バトンズの資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 売り手と買い手は互いにベストな相手を見つけるために、スピーディーに打診先を増やしたい。その上、それぞれが「同一地域は顔見知りが多いので買い手は隣県を候補にしたい」「車で一定時間内に行ける距離にある会社を買いたい」といった細かい要望を抱える。仲介会社やWebサービスが重宝される。

 M&A助言のレコフ(東京・千代田)の調査によると、売り手と買い手の少なくとも一方が建設業界の会社である国内のM&A件数は10年連続で増加し、21年は157件に達した。10年前と比べて3倍強の水準だ。この流れは22年も続いている(資料3)。22年1~10月の成約件数は136件で、前年同期を9%上回る。

資料3■ 2022年も建設分野におけるM&Aが活発
資料3■ 2022年も建設分野におけるM&Aが活発
全国の建設会社や建設コンサルタント会社を巡るM&Aの事例(出所:公表資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 かつては「M&A=企業の乗っ取り」というイメージが強く、拒否感を示す経営者は少なくなかった。しかし成功事例などが増え、徐々にその誤解が解けてきた。M&Aが珍しかった地方でも案件が増えているのがその証左だ。