福島県南会津町にある社員数100人弱の建設会社が2022年7月、東京のファンドに買収された。このファンドの傘下にある企業は山形県と福島県に広がり、互いに人材を融通して作業量の平準化を狙う。地域の枠を超えた連合には、域内の限られた公共工事を取り合わずに済むメリットがある。
22年7月29日、投資ファンドを運営するエンデバー・ユナイテッド(東京・千代田)が福島県南会津町の建設会社、南総建の株式を買い取り、同社を完全子会社にした(資料1)。狙いはエンデバーが東北地方で主導する中小建設会社連合の拡大だ。
エンデバーは20年以降、山和建設(山形県小国町)、小野中村(福島県相馬市)、南会西部建設コーポレーション(福島県会津若松市)の3社の株式をそれぞれ100%取得。22年7月には3社の持ち株会社UNICONホールディングス(UNICONHD、仙台市)を発足させた。「南総建は一定期間を経てUNICONHDグループに参画することを予定している」(エンデバー)
南総建は売上高が約14億円で、89人の社員を抱える。21年度は福島県南会津建設事務所からの土木工事の受注額が4億円を超えている。同事務所の管轄エリアでは有数の建設会社だ。
エンデバーによる買収の狙いは、建設会社間で人材を融通して人手不足を解消し、地域ごとに異なる工事の繁閑に対処することだ。
小野中村が福島県から受注した相馬市内の河川の災害復旧工事では、山和建設の社員1人が小野中村に転籍して施工に従事した。