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大手建設会社はM&Aに一定の資金を確保し、成長の糸口を模索している。国内の建設投資に頼らず、規模を強みに新たな市場を狙う。スタートアップ企業や異業種の手を借り、建設業界を変革する技術の普及を目指す動きも活発だ。

 大手建設会社の中でも中堅や中小と手を組む業界再編へ積極的な姿勢を打ち出しているのが大成建設だ。同社は2023年度までの中期経営計画で、中長期の外部環境の変化として「業界再編圧力の高まり」を明記。環境・社会課題の解決の必要性とDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性とともに3テーマの1つに掲げた。

 同社は「大手の市場シェアは他業界に比べてかなり小さく、自社グループにとっては成長分野も劣後分野も拡大の余地がある」と説明する。国土交通省の建設工事受注動態統計によると、21年度の土木工事の受注高合計は30兆3900億円。土木部門の受注高上位5社のシェアは約5%にすぎず、再編が進んでいない。

 大成建設の相川善郎社長は22年8月、経済誌のインタビューで「まず1社とのM&Aを早急にまとめたい」と言及。M&Aの候補として、関西方面に営業力の強い建設会社や、木造建築が得意な建設会社を挙げた。

 他の大手も具体策を明かさないが、海外進出や成長市場の開拓を進める手段として社外とのM&Aや提携、新会社の設立を検討中だ(資料1)。例えば、鹿島は「戦略的投資枠」として年200億円を積んでいる。個別の大型M&Aをいつでも実施できるよう、目標金額とは別の枠を設ける動きもある。

資料1■ 大手各社はM&A投資に備える
資料1■ 大手各社はM&A投資に備える
単体の土木売上高上位5社のM&Aに関する計画(出所:各社の開示資料と取材を基に日経クロステックが作成)
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 大手建設会社がM&Aを検討する理由は、自社が目指す成長ペースに比べて既存市場の成長率が低いからだ。建設投資はここ数年、右肩上がりで増えているものの、対前年度の伸び率は高くても数パーセントだ。22年度の見通しも前年度比0.6%増にとどまる。

 一方、洋上風力など再生可能エネルギー、不動産開発やコンセッションといった領域は、市場の成長に期待が寄せられる。参入には大規模な投資が可能な大手企業が有利だ。前田建設工業は21年、前田道路と前田製作所と共通の持ち株会社を設立し、企業規模を拡大した。