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 2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の建設工事で発生する残コン・戻りコンをゼロに──。未来への希望を世界に示す万博の開催に向け、環境に配慮した社会を目指す一大プロジェクトが立ち上がった。

 プロジェクトの発起人は、一般社団法人「生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)」だ。鹿島や竹中工務店といった複数の建設会社に加え、生コンクリート会社や大学など様々なプレーヤーが垣根を越えて参画。総力戦で挑んでいる。

 建設現場で打設した後に余った生コンを指す残コン・戻りコンは一般的に、出荷元の生コン工場に戻って、再利用されず産業廃棄物として処理される。RRCSの代表理事を務める東京大学大学院工学系研究科の野口貴文教授は、「残コン・戻りコンの発生量は生コン総出荷量の3~5%に上る」と推測する。

 全国生コンクリート工業組合連合会(東京・中央)によると、日本で21年度に出荷した生コンの総量は約7610万m3。その3%というと、最低でも200万m3以上が1年で発生していることになる。環境面の問題だけでなく、処理費用は生コン会社の負担となり、経営を圧迫する要因でもあった。

 RRCSによると、大阪・関西万博のパビリオンやインフラの建設などで使用するコンクリート量は30万m3に及ぶ。残コン・戻りコンが3%発生する場合、9000m3ものコンクリートが無駄に製造されることになる。

 コンクリートは、製造工程で大量の二酸化炭素(CO2)を排出するセメントを原料に使っている。野口教授は「残コン・戻りコンの削減は、CO2の排出量削減にもつながる」と話す。

 大阪・関西万博の運営主体「日本国際博覧会協会」が作成した行動計画では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、コンクリートへのCO2固定などを盛り込んでいる(資料1)。RRCSの取り組みの方向性は、同協会が掲げる将来像とも合致する。

資料1■ RRCSは万博で残コンゼロを宣言
資料1■ RRCSは万博で残コンゼロを宣言
2025年国際博覧会の会場イメージ(出所:2025年日本国際博覧会協会)
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 大阪兵庫生コンクリート工業組合の技術副委員長で、RRCSの万博関連プロジェクトを主導する船尾孝好座長は、「生コン工場に持ち帰る残コン・戻りコンを無くすのが、プロジェクトの最終目標だ」と説明する。