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政府のカーボンニュートラル宣言を受け、残コン・戻りコンを産業廃棄物として処理せず、二酸化炭素の吸着・固定といった付加価値をつけて再資源化する動きが出てきた。SDGs(持続可能な開発目標)の意識が高まり、残コンなどを使ったブロックの需要も増えている。

 建設現場で打設されずに余った生コンクリート「残コン・戻りコン」に粒状化剤を加え、新たに作るコンクリートの骨材として再生する──。生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)は、そんな技術の普及に向けてリサイクル分科会を立ち上げた。生コンを粒状化して作った骨材の品質試験を、2022年3月ごろから全国で実施している(資料1)。

資料1■ 粒状化骨材を作っている様子。RRCSに加盟している生コン会社で、セルドロンなど数種類ある粒状化剤を使ってできたそれぞれの骨材の品質を確かめる。粒状化骨材の吸水率や、打設後のコンクリートのスランプ・強度などを確認する(写真:灰孝小野田レミコン)
資料1■ 粒状化骨材を作っている様子。RRCSに加盟している生コン会社で、セルドロンなど数種類ある粒状化剤を使ってできたそれぞれの骨材の品質を確かめる。粒状化骨材の吸水率や、打設後のコンクリートのスランプ・強度などを確認する(写真:灰孝小野田レミコン)
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 試験の目的は、残コンなどを粒状化した骨材(粒状化骨材)の規格化。日本産業規格(JIS)にあるコンクリート用の再生骨材は、構造物の解体などで発生したコンクリート塊を砕いて作るものと定義。余ったコンクリート由来の骨材は想定していない。

 リサイクル分科会のリーダーを務める明治大学理工学部の小山明男教授は「粒状化骨材の一部は今でも、土間や農業用道路などに使われている。規格化されれば発注者に説明しやすいなどメリットがある」と話す。

 粒状化骨材をナノバブル(超微細気泡)の炭酸水に浸すと、炭酸カルシウム化して二酸化炭素(CO2)を固定できる。安藤ハザマと大成ロテック、内山アドバンス(千葉県市川市)は22年8月、上記の仕組みを適用した「カーボンプール(CP)コンクリート」を、舗装材として試験施工した。

 リサイクル分科会のサブリーダーで安藤ハザマ建設本部技術研究所脱炭素技術開発部の白岩誠史担当課長は「建設会社は今まで、残コン・戻りコンの存在をあまり認識していなかった。ただ今後は、環境配慮の視点からも、それらの削減に取り組まなければならない」と話す。

 残コン・戻りコンを有効活用しながらCO2の削減を目指す建設会社は他にもある。例えば鹿島は残コン・戻りコンを、建設資材に再利用できる粗骨材とCO2を固定させた処理土、放流基準値内の処理水に分別するシステムを開発した。既存の濁水処理施設に、散水装置付き振動式ふるいなどを追加した単純な構成だ(資料2)。

資料2■ 処理土にCO2を固定
資料2■ 処理土にCO<sub>2</sub>を固定
開発したシステムのイメージ。生コンからモルタル分を分離させてスラリー状にした後、炭酸ガスを注入するとCO2を固定した処理土が残る。最後に処理水を放流する(出所:鹿島)
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 実証実験を22年3月に実施。鹿島機械部機械技術イノベーショングループの坂根英之担当部長は「開発したシステムは2、3年かからず、うまくいけばすぐにでも実用化できる」と期待を込める。