残コン・戻りコンの発生量が毎年約数百万tなのに対して、コンクリートのがれきは約6200万tにも上る。がれきは9割以上が再資源化されるものの、用途はほぼ路盤材だ。残コン・戻りコンと併せて、新しいコンクリートへと生まれ変わらせなければ、真の資源循環は達成できない。
コンクリートを新しいコンクリートの材料として再利用することで、廃棄処分量を減らしながら新たな資源の使用を抑える──。環境に配慮した「コンクリート循環社会」の実現に不可欠なプロセスだ。現場で打設されずに返ってきた残コン・戻りコンを粒状化して骨材を作る取り組みはその一例にすぎない。
コンクリートの真の資源循環を達成するには、構造物を解体して発生するコンクリート塊などがれき類の再資源化も同時に進める必要がある。環境省の調査によると、2020年度のがれき類の排出量は約6200万t。残コン・戻りコンの約10倍に上る。
がれき類のリサイクル率は、現時点で9割を超えており、無駄なゴミを出さないという目標はほぼ達成できている。しかし、リサイクル先には改善の余地がある。芝浦工業大学の伊代田岳史教授は「コンクリート塊のリサイクル先の大部分は路盤材だ」と指摘する。新設道路の数には限界があり、コンクリート塊の発生量が路盤材の需要を上回る恐れがある。
リサイクルしても最終的には廃棄をゴールとする一方向の流れから脱却して、コンクリートとしての資源の循環を図る方向にシフトしなければならない(資料1)。
再資源化の有力な候補が、コンクリート塊を砕いて作る骨材(再生骨材)だ。再生骨材を材料に、コンクリートを半永久的に作れる。再生骨材コンクリートの普及に向け、再生骨材などに関する日本産業規格(JIS)が、2005~07年に次々と制定。様々な取り組みが進んできた。
しかし、再生骨材コンクリート普及連絡協議会(ACRAC)によると、全国の再生骨材コンクリートの出荷量が生コンクリート総出荷量の0.1%を超えた年はない(資料2)。加えて普及率は低下気味だ。ACRACの鎌田隆英技術顧問は「06年の再生骨材コンクリートの出荷量は10万m3を超えていたが、現在は半分以下まで下がった」と話す。