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大阪市で発生した路面の陥没事故は、真下で進めていた下水道管の更新工事が原因だった。一晩で管の交換が終わらなかったので、仮接続管でつないで埋め戻し、交通を開放。ところが、施工計画書通りに工事を実施しなかったため、大雨で仮接続管が流された。

 大阪市東住吉区の大阪府道の交差点で2022年4月29日午後3時半ごろ、路面が陥没し、軽自動車のタイヤがはまる事故が起こった。陥没の大きさは幅約1.9m、長さ約2.3m、深さ約1.5m。車のバンパーが破損したが、けが人はなかった(資料1、2)。

資料1■ 2022年4月29日に陥没した大阪市東住吉区の交差点。午後3時半ごろ、車が陥没箇所にはまり、バンパーが破損した。写真は同日午後6時ごろに撮影(写真:大阪市)
資料1■ 2022年4月29日に陥没した大阪市東住吉区の交差点。午後3時半ごろ、車が陥没箇所にはまり、バンパーが破損した。写真は同日午後6時ごろに撮影(写真:大阪市)
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資料2■ 陥没の大きさは、幅約1.9m、長さ約2.3m、深さ約1.5m(写真:大阪市)
資料2■ 陥没の大きさは、幅約1.9m、長さ約2.3m、深さ約1.5m(写真:大阪市)
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 陥没の原因は、大阪市が路面の下で進めていた下水道管の更新工事だ。市は事故現場を含む複数箇所の下水道管を対象に、交換や更生の工事を高山運輸建設(大阪市)に発注した。工期は21年2月~22年8月、契約金額は約2億7000万円だ。

 市建設局南部方面管理事務所によると、現場では事故前日の午後10時から当日の午前6時まで車線を規制し、管の更新工事を実施した。

 当初は5mの区間を対象に、一晩で管の交換を全て終える予定だった。路面を開削し、土かぶり2.5mほどの位置にあるコンクリート管を塩化ビニール管に交換。作業後に埋め戻して交通開放する手順だ。

 しかし、路盤が硬くて舗装の取り壊しに時間がかかり、交換作業を午前6時までに終えられなかった。そこで、仮接続管として内径200mm、長さ80cmの塩ビ管を使い、残っている既設管と、新設した管との間を接続。周囲の隙間を土のうで塞いで埋め戻した(資料3、4)。

資料3■ 事故後に掘り起こした仮接続箇所。仮接続管が流失している(写真:大阪市)
資料3■ 事故後に掘り起こした仮接続箇所。仮接続管が流失している(写真:大阪市)
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資料4■ 地中の仮接続部から土砂が流出
資料4■ 地中の仮接続部から土砂が流出
陥没現場の断面イメージ。朝の交通開放の時刻までに管の交換が終わらず、内径200mmの仮接続管でつないでいた(出所:大阪市の資料を基に日経クロステックが作成)
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 その後、現場付近では局所的な大雨があり、流下する下水量が増加。土のうが崩れ、仮接続管が下流にあるマンホールへ流された。その結果、仮接続管が失われた箇所から地盤の土砂が流出し、路面の陥没を引き起こした。