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[2023年の動き]2024年6月までにアナログ規制を見直す工程表に基づき、目視点検や巡視のデジタル化が進む。23年は省人化技術をまとめた「技術カタログ」を充実させる動きがデジタル庁を中心に本格化しそうだ。

 2023年は政府のデジタル政策の後押しによって、ドローンやAI(人工知能)といった省人化技術の普及が加速しそうだ。政府が設置した「デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)」は22年6月、法令などで目視や対面、人の常駐などを義務づけた「アナログ規制」の見直しプランを作成。同年12月に工程表をまとめた。各省庁は24年6月までに、個々の法令・政省令の改正などを急ぐ。

 狙いは法令上の原則をデジタル化とし、人力でなければ難しい場合などを例外的に扱って、新技術の活用を妨げないようにすることだ。デジタル臨調は代表的な規制を挙げ、それぞれの規制を省人化の度合いに応じてさらに細分化した(資料1)。

資料1■ 法令のアナログ度合いを個別に確認して見直す
資料1■ 法令のアナログ度合いを個別に確認して見直す
デジタル庁が進める規制の点検・見直し作業の一例。「目視規制」「実地監査」のうち、「検査・点検・監査」における段階分けの概要(出所:デジタル庁の資料や取材を基に日経クロステックが作成)
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 例えば河川やダムでは、管理者が維持修繕のための点検を基本的に目視で実施するよう求めている。規制のレベルは最もアナログな「Phase 1」に当てはまる。これを23年3月までに、省人化が進んだレベル「Phase 3」へ移行させる。具体的にはドローンや水中ロボット、画像解析などの活用を進めることを基本とするよう、国土交通省が法改正もしくは通知などで対応する。

 この他、書面や対面を求める手続きについても、国交省が足並みをそろえてシステムを整備することで見直す。23年1月に、建設業許可と経営事項審査の電子申請システムを運用し始める予定だ。

 デジタル臨調の事務局であるデジタル庁は22年11月、自治体向けに規制見直しのマニュアルを公開。23年は自治体がアナログ規制撤廃に向けた条例の見直しの準備に取り掛かりそうだ。