全1149文字
PR

[2023年の動き]国が「盛り土規制法」を施行する。都道府県や政令市は、土石流の起点になる恐れがある盛り土の造成などを規制する区域の指定に着手。5年以内の指定を目指し、全国で基礎調査の発注が始まる。

 2021年7月に起こった静岡県熱海市の土石流災害を受け、国は「宅地造成及び特定盛土等規制法」(盛り土規制法)を23年5月に施行する。国土交通省と農林水産省は具体的な規制手法や技術的基準を22年度内をめどにまとめる(資料12)。

資料1■ 2021年7月に土石流が生じた静岡県熱海市の逢初川では、砂防堰堤の設置など応急対策工事が進んでいる(写真:国土交通省)
資料1■ 2021年7月に土石流が生じた静岡県熱海市の逢初川では、砂防堰堤の設置など応急対策工事が進んでいる(写真:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
資料2■ 要領やガイドラインを充実させて規制の実効性を高める
資料2■ 要領やガイドラインを充実させて規制の実効性を高める
盛り土規制法の方針と具体的な施策。2023年の施行に先立ち、国土交通省は各種要領やガイドラインをまとめる(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 新法では、盛り土などの崩壊が人家や人命に被害を及ぼし得る区域を、規制区域として都道府県や政令市の首長が指定する。従来の宅地造成等規制法で対象だった宅地造成に伴う盛り土などだけでなく、森林や農地での盛り土、一時的に仮置きする残土のうち規模が大きいものを対象に加えた。さらに市街地の上流域の盛り土を起点とした土石流災害などを防止する「特定盛土等規制区域」を新たに指定できる。

 規制区域で基準値を超える規模の盛り土を造成する場合、行政の許可を得る必要がある(資料3)。盛り土規制法の施行後、規制区域を指定するための基礎調査が全国で発注される見込みだ。机上調査や現地踏査で、人的被害に発展しかねない盛り土がある区域を抽出。市街地だけでなく、人が日常的に利用する道路や鉄道、公共施設なども保全できるように定める(資料4)。施行から5年以内の規制区域指定を目指す。規制区域はおよそ5年ごとに確認して見直す。

資料3■ 一時的に施工する盛り土も規制する
資料3■ 一時的に施工する盛り土も規制する
特定盛土等規制区域において造成を制限する盛り土の規模(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
資料4■ 市街地の上流域などの盛り土を新たに規制する
資料4■ 市街地の上流域などの盛り土を新たに規制する
盛り土を規制する区域の設定イメージ(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]

 調査では、規制区域内にある既存の盛り土の安全性も確認する。対策の必要性の有無や緊急性を個別に判断したうえで、土地の所有者や盛り土の造成事業者に改善命令などを出す。問題がなかった場合でも、行政による経過観察を続ける。