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[2023年の動き]国土交通省は2023~25年度にかけて、国土交通データプラットフォームの本格活用に乗り出す。増えていくデジタルデータを高度に管理・活用するために、業務の進め方やシステムの見直しが求められそうだ。

 2023年は、国土交通省が整備を進める国土や自然現象、経済活動など多分野にまたがる官民データ連携基盤「国土交通データプラットフォーム」の本格的な活用が始まりそうだ。

 22年度中にシステム構築や既存のデータベースとの連携が一旦完了する予定だ。23年度は連携先の拡大やイノベーション創出に向けた活用に乗り出す元年となる。25年度までに、取り扱うデータを20年度比の7倍に当たる約150万件に増やす(資料1)。

資料1■ 2025年度までにデータの連携先を増やしながら活用策を広げる
資料1■ 2025年度までにデータの連携先を増やしながら活用策を広げる
国土交通データプラットフォームの整備予定(出所:国土交通省やデジタル庁の資料、取材を基に日経クロステックが作成)
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 国交省は19年に国土交通データプラットフォームの計画を公表し、整備を進めてきた。デジタル空間上でデータを使った解析やシミュレーションを進め、国土交通分野における高度なサービスやデータに基づく政策決定を実現するためだ。

 例えば雨量や河川流量、建築物の立地状況、人流のデータを組み合わせれば、より高精度な防災シミュレーションが可能となる。自動運転やドローンを使った配送サービスの効率化、公共インフラの補修における優先順位の判断にも役立つ。

 政府が22年6月に閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、国土交通データプラットフォームの整備をデジタル社会の実現に向けた施策の1項目に掲げている。

 国交省が保有するデータ量は膨大だ。その上データは河川や道路、港湾、鉄道など異なる部局が管理するため、一体的な把握や掛け合わせが難しかった。

 そこで各種のデータベースが持つ情報に検索を可能とするメタデータや位置情報を付与。一つの3次元地図上で地形やインフラ施設、気象などのデータベースを参照できる仕組みを構築した(資料2)。

資料2■ 地形やインフラ施設、気象などに連携先を広げた
資料2■ 地形やインフラ施設、気象などに連携先を広げた
国土交通データプラットフォームが連携する主なデータベース(出所:国土交通省の資料と取材を基に日経クロステックが作成)
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 連携先は国だけでなく、自治体が発注する測量業務や工事のオンライン型電子納品システム「My City Construction」などにも広げている。