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[2023年の動き]今後10年間で、総額150兆円規模の官民GX投資を実現させる。建設産業では住宅・建築物以外に、セメント産業への投資が進む。現場では建機に使う燃料のクリーン化への支援策が検討されている。
世界中で加速する脱炭素化の取り組み。2022年は国内で大きな動きがあった。6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」「骨太方針2022」で、GX(グリーントランスフォーメーション)を新しい資本主義の柱として打ち出した。GXとは産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー主体に変革させる取り組みのこと。
今後10年間における官民の総投資額は150兆円超に上る方針だ。カーボンプライシング(炭素に価格を付け、排出者の行動を変容させる政策手法)導入による将来の財源を期待してGX経済移行債(仮称)を発行するなど、大胆な先行投資支援を検討している。今後10年間の投資方針をまとめたロードマップに基づいて、23年から投資支援が本格化する。
22年11月に実施した第4回GX実行会議の資料によると、10年間の投資規模は、再生可能エネルギーの大量導入に約31兆円以上、住宅・建築物には約14兆円以上、セメント産業には1兆円以上をそれぞれ想定している。
国土交通省では環境行動計画に基づいて、GXに資する取り組みを既に各局でまとめて推進している(資料1)。例えば港湾分野ではカーボンニュートラルポート(CNP)の実現に向けて、形成計画の作成を推進し、実証事業などを進める。都市分野では環境に配慮した民間都市開発やグリーンインフラの推進などが盛り込まれた。