[2023年の動き]二酸化炭素の実質排出量がマイナスになる「脱炭素型コンクリート」の開発に多くの建設関係者が挑み、公共事業をはじめとした実構造物などへ適用・検証する事例が増える。
国の後押しを受けて、脱炭素型コンクリートの開発が加速している。2022年は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が取り仕切る、2兆円のグリーンイノベーション基金の活用が始まった。22年1月に事業テーマごとの実施先が決定した(資料1)。
コンクリート分野における二酸化炭素(CO2)排出削減・固定量の増大とコスト低減の両立に向けた技術開発、セメント分野における製造過程の効率的なCO2分離・回収技術の確立、回収したCO2のセメント原料化に向けた技術開発を一体的に進める。いずれの技術開発も30年度まで継続的に支援する。
委託先の一つ、鹿島、デンカ、竹中工務店の3社が幹事を務めるコンソーシアム「CUCO(クーコ)」は、CO2排出量を実質ゼロ未満にできるコンクリート製の型枠「CUCO-SUICOM(クーコスイコム)型枠」を開発。国土交通省が発注するトンネル工事で埋め込み型枠として適用した(資料2)。
クーコスイコム型枠は、鹿島などが開発したコンクリートのCO2削減・固定化技術「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」を改良。固定化の効果をより高めたものだ。
セメントの一部を高炉スラグ微粉末に置き換えてCO2排出量を削減するとともに、特殊な混和剤を使ってコンクリートを炭酸化養生しCO2を吸収・固定する技術が、シーオーツースイコム。それに、CO2を固定した炭酸カルシウムの粉体を混ぜ合わせた(資料3)。CO2の実質排出量がマイナス62kg/m3でカーボンネガティブを実現した。