[2023年の動き]2023年4月に始まるBIM/CIMの原則化に伴い、23年度はXR技術の開発が加速する。3次元モデルとXRを掛け合わせたシステムは、企画から設計、施工の全段階において導入の可能性がある。
現実と仮想の世界を融合するXR(クロスリアリティー)と、BIM/CIMで作成した3次元モデルは親和性が高い。モデルをVR(仮想現実)技術が生み出す空間に立ち上げたり、AR(拡張現実)技術で建設現場を映した画像に反映したりできる。
2023年4月から、小規模案件を除いた全ての直轄工事でBIM/CIMが原則適用される。それに伴い、23年度はXR技術の建設業界への導入が加速する。
企画から設計、施工まで一気通貫で扱えるBIM/CIMが浸透するほど、XR技術の活用の幅も広がる(資料1)。企画段階でいち早く取り組んできたのは、国土交通省九州地方整備局だ。現実の河川を再現した仮想空間上に3次元モデルを表示する方法などをマニュアルとしてまとめ、22年2月に公表した。
VRゴーグルなどを使って仮想空間を体験すれば、住民はインフラ整備後の状況をイメージしやすい。23年は、道路など他分野でも仮想空間を構築して活用する方針だ。
設計段階では、タブレットなどを通して見た建設予定地に、MR(複合現実)技術で実寸大の3次元モデルを投映するだけでなく、施工の工程表にひも付けて作業手順を表示するシステムも生まれている。
今までアナログな部分に頼りがちだった施工段階では特に、XRを導入する余地が大きい。例えば、鉄筋の配筋検査。従来は、メジャーやノギスを使って手作業で計測していた。
五洋建設や戸田建設といった建設会社20社と、戸建て事業などを手掛けるプライムライフテクノロジーズ(PLT、東京・港)は、専用カメラで鉄筋の立体的な配置を認識するシステムについて、23年度の本格運用を目指す。撮影した鉄筋の本数や配置などをAR技術で計測。設計データと自動で照合して誤差を確認する。