2023年の建設産業はどうなるか? 法制度・基準、施策、技術、業界動向、プロジェクトの5分野を55のキーワードに分けて紹介する。明日の仕事で役に立つ知識を身に付け、1年間の土木の動きを先取りしよう。

2023年どうなる土木
目次
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建設3Dプリンター、大型土木構造物にも適用の予定
[2023年の動き]集水升や歩車道境界ブロックといった小規模だけでなく、大規模な土木構造物への適用が検討されている。農業土木でも活用が見込まれており、実構造物への採用実績は2022年よりも増える。
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脱炭素・GX、総額150兆円超の投資に高まる期待
[2023年の動き]今後10年間で、総額150兆円規模の官民GX投資を実現させる。建設産業では住宅・建築物以外に、セメント産業への投資が進む。現場では建機に使う燃料のクリーン化への支援策が検討されている。
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リニア中央新幹線、静岡工区で議論続き開通見通せず
[2023年の動き]東京―名古屋間で難題への対応が正念場を迎える。南アルプストンネル静岡工区では静岡県との合意形成に向けた議論が続く。大深度地下トンネルでは過去のトラブルを乗り越え本格掘進を目指す。
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重機の自動化、盛り土造成以外に安全ルールを拡大
[2023年の動き]建設業界の生産性向上を進めるべく、国土交通省が中心となって自動施工のルール作りを加速させる。夏ごろには重機の機能や性能を確認するための現場検証に乗り出す。
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国土形成計画、「人口10万人圏」を国土の軸に
[2023年の動き]国は夏ごろに第3次国土形成計画を取りまとめる。デジタル技術の活用などによる「地域生活圏」の構築を軸に、脱炭素の実現や大規模災害の発生を見据えた国土づくりの方針を示す。
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産後パパ育休、取得状況の公開で男の育休が普及
[2023年の動き]4月から大企業を対象に育児休業取得状況の公表を義務化。また中小企業に対しては、厚労省の「両立支援等助成金」で、男性も育児休業を取りやすい職場風土づくりを支援。
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盛り土規制、5年での区域指定目指し基礎調査へ
[2023年の動き]国が「盛り土規制法」を施行する。都道府県や政令市は、土石流の起点になる恐れがある盛り土の造成などを規制する区域の指定に着手。5年以内の指定を目指し、全国で基礎調査の発注が始まる。
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BIM/CIM施策、要求事項から義務項目・推奨項目へ
[2023年の動き]国土交通省は2023年4月から原則として全ての直轄工事にBIM/CIMを適用。詳細設計業務を含め、従来のリクワイヤメント(要求事項)に代わって新たに義務項目と推奨項目を設定する。
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資材高騰、沈静化の兆し見えるが依然上昇
[2023年の動き]資材高騰は収まりを見せ始めたものの、全体的な下降局面には至りそうにない。価格転嫁については、公共事業は民間事業よりも比較的進んでいる。スライド条項の適用が本格化しそうだ。
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脱炭素型コンクリート、現場で進むカーボンネガティブ検証
[2023年の動き]二酸化炭素の実質排出量がマイナスになる「脱炭素型コンクリート」の開発に多くの建設関係者が挑み、公共事業をはじめとした実構造物などへ適用・検証する事例が増える。
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国土強靱化、次期基本計画の閣議決定は夏ごろ
[2023年の動き]国土強靱化施策の基本計画が見直しのタイミング。夏までに次期計画を作成する。自治体のマスタープランとなる地域計画は国がガイドラインを作成。各自治体はこれを基に、作成済みの計画の充実化を急ぐ。
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アナログ規制撤廃、目視を代替するデジタル技術が普及
[2023年の動き]2024年6月までにアナログ規制を見直す工程表に基づき、目視点検や巡視のデジタル化が進む。23年は省人化技術をまとめた「技術カタログ」を充実させる動きがデジタル庁を中心に本格化しそうだ。
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防衛力強化、5年間で43兆円にくい込む建設産業
[2023年の動き]政府は2023年度から5年間で約43兆円の防衛費を確保する方針だ。防衛力強化の柱の一つである「持続性・強靱性」は建設産業と関係が深く、食指を動かす建設会社も出てきた。
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残業規制、割り増し賃金で対応迫られる中小
[2023年の動き]2024年度の残業規制の適用を見据え、建設業界は働き方改革などを進めている。23年4月には、中小企業でも月60時間を超える残業に割り増し賃金率50%が適用され、残業減を迫られる。
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技術者制度、監理技術者の専任条件を緩和
[2023年の動き]担い手不足の解消に向けて、2022年5月にまとまった制度改革案を基に、技術者制度を見直していく。まずは、法整備が完了した専任不要上限額の引き上げ。23年1月に施行する。
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経営事項審査、公共工事はCCUS導入で10点加点
[2023年の動き]「担い手の育成・確保」「災害対応力の強化」「環境への配慮」の三つを柱とした経審の改正が施行。CCUSの導入状況が加点対象になる。申請手続きの電子化もようやく始まる。
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インボイス、元下関係揺るがす消費税の新制度
[2023年の動き]10月に導入予定のインボイス制度で、建設業では一人親方なども課税対象者となり、元請けに対する適格請求書(インボイス)を発行する必要が出てくる。元下関係が揺らぎかねない。
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道路橋示方書の改定、既設橋の性能評価基準の作成へ
[2023年の動き]5年ぶりとなる道路橋示方書の改定を迎える。改定のポイントは既設橋の性能を評価するための調査や、評価の方法・手順を明確にする基準類を作成・充実させることだ。
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道路土工構造物点検要領の改定、建設2年以内の初回点検が基本に
[2023年の動き]道路土工構造物点検要領を3月までに改定する。適切な点検時期や現地調査時のポイントを示すなど、点検の省力化や効率化につながる内容を盛り込む。
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グリーンインフラ実践ガイド、自治体での本格普及を目指す
[2023年の動き]国は自治体での本格普及を目指し、実践ガイドを作成する。その他、2019年に作成したグリーンインフラに関する推進戦略を改定する見込み。最新の社会情勢を踏まえた戦略を打ち出す。