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 橋長38m、2径間の橋梁新設工事で、下部工の施工後に橋脚の不同沈下が発生した。施工前のボーリング調査によると、河床下の深さ3mまでは薄い粘性土層を挟む緩い砂層であり、その下位はN値30~40の密な砂質土が分布している。河川両岸の橋台は杭基礎、河床部の橋脚は密な砂質土を支持層とする直接基礎形式であり、橋台・橋脚ともほぼ同時に施工された(資料12)。

資料1■ 橋梁下部工の施工後の状況
資料1■ 橋梁下部工の施工後の状況
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資料2■ 橋梁上部工・下部工の縦断図
資料2■ 橋梁上部工・下部工の縦断図
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 橋脚の施工では、ウオータージェット併用で締め切り矢板を圧入し、切り梁を設置して基礎底面まで掘削した(資料3)。基礎底面で支持力確認のための載荷試験を実施後に、橋脚を築造し出来形を確認。そして河床レベルまで埋め戻し、矢板を引き抜いた。この直後、橋脚の左岸側で10cm、右岸側で0.8cmの沈下が検査で確認された。

資料3■ 橋脚の締め切り矢板工の概要図
資料3■ 橋脚の締め切り矢板工の概要図
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 不同沈下の原因として適切なのは、(1)矢板圧入時のウオータージェットで砂質土地盤を乱したこと(2)矢板の引き抜き後の矢板の厚さ(2.4cm)に応じた空隙が生じたこと──のどちらか、考えてみよう。