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太陽光パネルの新たな設置場所として、広大な発電面積が見込める道路に注目が集まる。道路舗装会社大手は、民間企業の駐車場など私有地への導入に着手した。大型車の走行に対応できる耐久性の検証も進めている。23年度は、公道に設置するための実証実験が始まりそうだ。

 人や車が何回通っても破損しない耐久性を持つ太陽光パネルの実現に向けて、道路舗装会社などが技術開発でしのぎを削る。例えば、東亜道路工業は仏道路建設会社大手のコラスと手を組み、路面に貼った太陽光パネルの上を大型車で走行する実証実験を実施している(資料1)。

資料1■ 大型車の走行による実証実験の様子。太陽光パネルは、仏道路建設会社大手のコラスとフランス国立太陽エネルギー技術研究所(CEA-INES)が開発した製品だ。フランスではパネルの耐久性を確認済み(写真:東亜道路工業)
資料1■ 大型車の走行による実証実験の様子。太陽光パネルは、仏道路建設会社大手のコラスとフランス国立太陽エネルギー技術研究所(CEA-INES)が開発した製品だ。フランスではパネルの耐久性を確認済み(写真:東亜道路工業)
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 「開発を進める太陽光パネルは、輪荷重49kN換算で20万輪走行しても損傷がないことを確認した。1日当たりの大型車交通量が40~100台の交通量区分N3までの車道なら耐久性に問題はないはずだ。2023年夏ごろには30万輪走行を目指したい」。東亜道路工業の松村高志常務執行役員はこう意気込む。

 国土交通省によると、全国の国道と高速道路で照明など道路管理に必要な電力は1年当たり約3060GWh(ギガワット時、13年度時点)。一方、道路周辺に設置した再生可能エネルギー発電施設による年間発電量は、その1%にも満たない(資料2)。

資料2■ 再生可能エネルギーを活用した発電量はごくわずか
資料2■ 再生可能エネルギーを活用した発電量はごくわずか
道路の管理で、1年当たりに消費する電力量(2013年度時点)と道路周辺に設置した再生可能エネルギー発電施設による年間発電量(20年度時点)(出所:国土交通省)
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 道路管理の消費電力を賄えるほどの発電施設が整備されていないのが現状だ。そこで注目を集めているのが、総延長約128万kmにも及ぶ公道だ。太陽光パネルを設置できるようになれば、新たな大規模発電施設が誕生する。

 現行の道路法では、太陽光パネルなど発電装置を公道の路面に設置できない。しかし国交省は23年3月、法制度の改定も視野に入れつつ、太陽光発電舗装の設置に向けた技術の公募を始めた。「発電する道路」の実現が現実味を帯びてきた。