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未来の道路づくりを建設業界がリードするには、発注待ちの受け身姿勢からの脱却が不可欠だ。完全自動運転の物流システムの構築や、導電性コンクリートの舗装適用など、道路の新しいイノベーションを起こそうとする動きが建設側から出ている。

 「モビリティーの進化によって道路の在り方が急速に変わろうとしている。立派な6車線道路を持つ日本はどう対応していくべきなのか。誰もアイデアを持っていない今こそ、未来の道路を考える大きなチャンスだ」。三井住友建設の春日昭夫副社長はこう指摘する(資料1)。

資料1■ 三井住友建設の春日昭夫副社長(写真:日経クロステック)
資料1■ 三井住友建設の春日昭夫副社長(写真:日経クロステック)
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 春日副社長は将来を見据えて、高速道路を活用した物流システムを提案している。特定の条件下で運転手が不要な『レベル4』の自動運転で走行する大型車を対象に、荷物の積み込みから搬送、荷下ろしまでの一連の作業をコントロールするトータルシステムの開発を目指す(資料2)。

資料2■ 大型車による物流を一元管理するシステムのイメージ(出所:三井住友建設)
資料2■ 大型車による物流を一元管理するシステムのイメージ(出所:三井住友建設)
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 脱炭素も1つのカギとなる。水素エンジン車や電気自動車(EV)を使えば、二酸化炭素排出量の削減が見込める。また、低炭素コンクリートを使った高速道路の整備も検討している。そういった環境配慮の取り組みによって、ESG(環境・社会・企業統治)投資の促進を狙う。

 自動運転には、車両が自分の位置を推定する技術が必須となる。舗装に埋め込んだ発光ダイオード(LED)照明による光を車載カメラなどで読み取る可視光通信で対応する構想だ。

 災害などで物流を完全に止めなくて済むような技術も取り入れようとしている。橋梁に損傷を感知するセンサーを設置し、損傷度合いに応じて1度に走行できる台数を解析。その情報を受け取った車両が自動で調整しながら走行する。

 システムの実現には、建設会社の守備範囲外である荷物の積み込みや荷下ろしにも対応しなければならない。そこで、三井住友建設は他領域の企業などと連携する方針だ。今後、賛同してくれる会社を募っていく。