測量や点検、現場管理、運搬など活用の場面が増え続け、建設業界になくてはならない存在になったドローン。一方、技術や制度は刻々と変化し、疑問は次から次へと沸いてくる。これからドローンを導入するあなたにも、次なる活用方法を探るあなたにも──。全ての建設技術者に向けて、ドローン活用で気になる30の疑問点をQ&A形式で解説する。

ドローン30のギモン
目次
-
ドローン市場、この5年で何倍になった?
人々の上空を当たり前のようにドローンが飛び交い、様々な社会課題を解決する──。そんな「ドローン前提社会」の到来が近づいている。インプレス(東京・千代田)が2023年3月に発行した調査報告書によると、空撮や農業などドローンを用いたサービス市場の規模は22年度に1586億円に達した。前年度比で38.1…
-
ドローン業界のプレーヤー、建設分野で注目すべきは?
大小様々な会社がひしめき合い、成長著しいドローン業界。主に機体の開発や設計・製造を担うメーカーと、独自のソフトウエアなどを使ったサービスを提供する会社に大別できる。
-
生産性向上に寄与するツールはICT建機? BIM/CIMソフト?
国産の画像処理エンジンなどを開発して、ドローン向けのサービスを展開しているスカイマティクス(東京・中央)が建設業界の実務者約1000人に実施したアンケートによると、生産性向上に最も寄与した建設ICT(情報通信技術)ツールとして、回答者の約23%がドローンを選び、1位となった。
-
アナログ規制撤廃でドローンの活用は加速する?
人による近接目視や常駐などを義務付けていた「アナログ規制」の撤廃に向けた動きが加速している。アナログ規制などに関する法令は約1万条項ある。デジタル庁デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)の主導で、2024年6月までにこれらの規制制度を見直してデジタルで対応できるよう、かじを切った。
-
ドローン導入で効率化したいが、何の業務から使うべきか?
災害時に大規模な範囲を調査したり、橋の法定点検で使ったり──。ドローンの万能さをニュースなどで目にする機会が増えた。大きな効果を狙って、思わず優れた活用法に飛びつきたくなるが、それではドローンの定着は難しい。効果の大小を問わず、普段から使い慣れておくことが重要だ。
-
自治体がドローンを導入するのはまだ先でしょ?
経済産業省が2022年4月に公表した調査結果によると、6割近い自治体がドローンを活用した実績を持つ。ドローンを保有する自治体は46%に上る。ドローンの必要性を感じないと回答したのは、わずか60自治体(7%)にとどまった。
-
ドローンを有効に活用できるのは大手企業だけでは?
橋梁などの定期点検の効率化のため、受発注者が技術を選ぶ際に利用する「点検支援技術性能カタログ」。同カタログに掲載している技術やサービスは、2022年9月時点で計169だ。多くは全国規模の会社やスタートアップの技術だが、そのなかで地方の建設会社が名を連ねる。有限会社の伊藤建設(島根県奥出雲町)だ。
-
災害・緊急時にドローンを飛ばすためにはどういう体制が必要?
災害現場でのドローン活用は、平時と比べて環境が大きく変わるので注意が必要だ。二次災害のリスクを考慮しながら、安全かつ正確にドローンを制御するのは容易ではない。突然の「有事」に対応できる体制が求められる。
-
土木業界でドローンを買うならやっぱりマルチコプター?
ドローンと聞いて多くの読者が思い浮かべるのが、4~6枚ほどのプロペラが付いたマルチコプター式の機体だろう。垂直に離陸し水平移動するほか、ホバリングといって空中で静止するなど操作性が高い。
-
予算が少ない中小の会社や自治体でも導入できるの?
ドローンを導入しようとする際に気になる費用。搭載する機材にもよるが、ドローンの価格帯は数万円台から数千万円台まで幅広い。用途を見極める必要がある。
-
今はもうほとんどどこでもドローンを飛ばせるんでしょ?
2022年12月の航空法改正で、「有人地帯(第三者上空)での補助者なしの目視外飛行」、いわゆるレベル4が解禁。全面的にドローンを飛ばせるようになったと感じる人は多い。
-
ドローンは国家資格がなければ飛ばせないの?
2022年12月の改正航空法施行で、国家資格のドローン操縦ライセンス(無人航空機操縦士)が創設された。「特定飛行」(Q11参照)や機体が25kg以上の大型ドローンの飛行に関わる資格だ。
-
ドローンの購入や導入に使えそうな補助金は?
多くの補助金・助成金制度のなかで、中小企業が対象で通年募集している代表的なものとして、「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」などがある。これらはドローンの機体を購入する際などに利用できそうだ。
-
ドローンを飛ばすときには許可が必要?
機体の重量が100g以上のドローンを航空法で規定された「特定飛行」で飛ばす場合は、国土交通省に飛行許可または飛行承認を申請する必要がある。許可が必要な例として、「空港などの周辺」「150m以上の上空」「人口集中地区の上空」「緊急用務空域」で飛ばすケースが該当する。
-
今さら聞けないドローン用語、まず知っておくべきは何?
点検や空撮でよく使われるのが「オルソ画像」だ。複数の写真や動画の各コマをつなぎ合わせて1枚の画像に変換したもので、ゆがみがなく正しい大きさと位置を表示するのが特徴。ひび割れなど損傷の把握に効果的だ。
-
水管橋の点検でドローン利用が激増しているってホント?
2021年10月に和歌山市で起こった六十谷(むそた)水管橋の崩落をきっかけに、水管橋の点検でドローン活用が加速している。
-
橋梁の定期点検でドローンを使う際は、何に注意する?
道路橋の点検でドローンを活用する事例が着実に増えている。国土交通省近畿地方整備局管内の直轄点検業務を発注している近畿道路メンテナンスセンターによると、業務の受託会社のうち、国交省の点検支援技術性能カタログに掲載されたドローン技術の提案者は2021年度から22年度にかけて6倍になった。
-
ドローン点検の品質はどうやって高める?
ドローンを使った橋の点検で欠かせないのが、取得する画像の精度管理だ。撮影を終えて事務所に戻ったらブレやピンボケで点検に使えない写真ばかりだった──。そんなことにならないよう、精度管理を徹底しよう。
-
ドローン導入で橋梁の点検コストはどれだけ下がる?
2019年2月の道路橋定期点検要領の改定を受けて、近接目視の代わりにドローンなどを使うケースが増えた。点検コストの削減効果も徐々に明らかになっている。特に効果が大きいのは、桁裏へのアクセスや長時間の車線規制が困難なため、足場や橋梁点検車、ロープアクセスによって点検していた橋だ。
-
河川の不法投棄の監視にドローン、動画を撮ったはいいがどう使う?
不法占用やごみの投棄、樹木の生育状況、危険行為の有無──。これらは河川管理者が日々の巡視で確認すべき項目のごく一部にすぎない。そこで国土交通省が河川巡視にドローンを適用して効率化しようと、「革新的河川技術プロジェクト」で民間企業と技術開発や実証に取り組み始めたのが2019年。いよいよ現場への実装が…