コロナ対策中心の予算で厳しいやり繰りが続いた公共事業。長いトンネルを抜け、2023年度予算では多くの自治体で、地域活性化や産業振興、防災・減災を目指したインフラ整備に注力する動きが目立つ。都道府県の8割強が公共事業などに充てる投資的経費を増やした。「再始動」した日本で進む主なプロジェクトを紹介する。

特集
日本再始動
目次
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コロナ後見据えた自治体予算の全容、公共投資の回復傾向が鮮明に
地方創生や地域経営の専門誌「日経グローカル」の調査・分析で、都道府県や主要市の2023年度予算には、コロナ後を意識した施策が多く盛り込まれていることが分かった。投資的経費は都道府県で8割強、主要市で半数以上の自治体が増額するなど、公共事業にも回復の傾向が鮮明に見え始めた。
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長期間にわたる水害対策、調節池や水門など巨大事業目白押し
気候変動や南海トラフ巨大地震による被害を想定して、各自治体は中長期的な水害対策に取り組む。整備するインフラは必ずしも機能一点張りではなく、景観に配慮して意匠性を高める事例もある。河川管理などでもデジタル技術を活用する動きが目立ってきた
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ミッシングリンク解消、道路ネットワーク強化で産業後押し
高規格幹線道路のミッシングリンク解消は自治体にとって地域活性化につながる期待の事業だ。自治体はそれと合わせて、ICアクセス道路や地域高規格道路の整備に予算を計上する。熊本県では、半導体受託生産大手のTSMCの進出を機に道路環境の改善に乗り出した。
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地域の起爆剤となる都市整備、リニア駅前や万博会場へ投資が進む
リニア中央新幹線の開業などに対応した駅前再開発や、万博会場を中心とする都市整備が活気づいている。地元自治体はそうしたイベントを起爆剤にインフラ投資を進め、地域の活性化を図る。事業をスムーズに進めるには、近隣住民への配慮や対象地域の事前の調査も重要だ。
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主要98自治体の予算一覧、都道府県の8割強で投資的経費が増
日本経済新聞社「日経グローカル」誌が2023年2月から4月にかけて、日経リサーチを通じて調査を実施した