米中貿易摩擦が産業界に深刻な影響を及ぼしている。長らく順調に成長してきた企業の業績に陰りが出てきた。米Apple(アップル)や韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の2018年10~12月期連結決算は、前年同期比で減収・減益。米NVIDIA(エヌビディア)は、同年11月~2019年1月期の連結売上高予想を2割近く下方修正した。日本企業では、パナソニックや三菱電機などが相次いで2019年3月期の通期連結業績予想を下方修正している(表1)。
米中貿易摩擦の影響は多岐にわたるが、端的にいえば、米中両国が追加関税措置を発動したことで、中国をはじめとする世界経済が失速。スマートフォンなど最終製品の需要減や、データセンター投資の抑制といった事態を招いた。その影響は、最終製品にとどまらず部品や生産設備にも及んでいる。
前年度割れを覚悟
各社が業績予想を下方修正したことからいえるように、多くの企業にとって期末となる2019年3月まで影響を受けるのは必至だ。問題は、新年度を迎える同年4月以降も影響が続きそうなことと、需要が回復する時期を見定めにくいことである。
例えば、ソニーは2019年度(2019年4月~2020年3月)におけるイメージセンサーの販売数量が2018年度よりも減少するという見通しを示した(図1)。スマートフォン市場の減速を、主な理由として挙げている。
近年、スマートフォンの背面にあるアウトカメラでは、画質向上や多機能化を目的として複数のカメラモジュールを搭載する「複眼化」が進んでいる。その分だけイメージセンサーの需要も増え、スマートフォン向けイメージセンサーで圧倒的なシェアを占めるソニーにとっては追い風のはずだが、それでも前年度割れを覚悟しなければならない状況だ。