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脳型チップを搭載したボード(出所:Intel)
脳型チップを搭載したボード(出所:Intel)
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 米Intelは2019年7月、「CPUの1000倍速く、1万倍高効率」(同社)という脳型(neuromorphic)演算システム「Pohoiki Beach」(開発コード名)を開発したと発表した(図1)。ロボットなどが移動しながら自らの位置を把握する技術「SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)」や経路探索、スパースコーディング、義足などへの応用を想定しているという(図2)。

図1 開発した脳型演算システム「Pohoiki Beach」
図1 開発した脳型演算システム「Pohoiki Beach」
右が「Nahukuボード」、左はIntelのFPGA「Arria 10」。(出所:Intel)
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図2 Loihiチップを利用した義足の様子
図2 Loihiチップを利用した義足の様子
このほかにも、ロボットなどが移動しながら自らの位置を把握する技術「SLAM」などの用途を想定している。(出所:Intel)

Pohoiki Beach(ポホイキビーチ)=ハワイ島の東端にある黒い砂の海岸。

 試作したのは、同社が2017年に発表した脳型チップ「Loihi」(図3)を最大32個、ボード(Nahukuボード)上で密結合させ、それを複数枚用いた演算システムである。IntelはLoihiチップ1個に、脳細胞の機能を模した“ニューロン”を約13万個、ニューロン間をつなぐ神経線維を模した“シナプス”1億3000万本を実装した。“ニューロン”間の信号は、脳のそれを模してスパイク状(針状)に張り巡らせており、SNN(Spiking Neural Network)とも呼ぶ。Pohoiki Beachでは、Loihiチップを最大64個相互結合できるので、“ニューロン”数は計約839万個、“シナプス”は計約83億本に達する。

図3 Loihiチップのダイ
図3 Loihiチップのダイ
2017年に発表した脳型チップである。(出所:Intel)
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Loihi(ロイヒ)=ハワイ島の南にある海底活火山の名前。Loihiチップの特徴は性能や省電力性という点で、既存のほとんどのAIチップと呼ばれるニューラルネットワーク用アクセラレーターチップを上回ったとする。インテルによれば、リアルタイム深層学習ではGPUの109倍省電力、推論ではIoT端末向けの専用チップに対して5倍省電力だったという。

Nahuku(ナーフク)=ハワイ島にある溶岩の通り道跡(溶岩洞)

 Intelは2019年後半に、より多数のLoihiチップを用いたシステム「Pohoiki Springs」を開発し、脳型演算システムにおける演算性能の高度化と高効率化を進める計画だ。