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Zn-Ni2次電池における30サイクル後のZn負極表面の様子。ZnOの粒子が均一に形成されているが、デンドライトはみられない(同志社大学のスライドを本誌が撮影)
Zn-Ni2次電池における30サイクル後のZn負極表面の様子。ZnOの粒子が均一に形成されているが、デンドライトはみられない(同志社大学のスライドを本誌が撮影)

 同志社大学 大学院 理工学研究科 教授の盛満正嗣氏の研究室は、亜鉛(Zn)やリチウム(Li)など金属負極を用いた2次電池の負極上に樹状突起(デンドライト)が形成される課題を解決する技術を開発した。

 デンドライトは金属負極を用いた2次電池の開発に数十年も付きまとっていた課題。これが解決すれば、「革新型電池」とも呼ばれる超高エネルギー密度の亜鉛(Zn)空気電池や、より開発しやすい亜鉛ニッケル(Zn-Ni)2次電池の実用化に向けて大きな一歩となる。その電池の応用先は「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)。1充電走行距離を1.5~2倍にできる」(盛満氏)という。

5500回の急速充放電でもOK

 盛満氏の研究室は、負極に今回の技術を施した1辺が数cmのZn-Ni2次電池セルを試作。充放電を5000サイクル以上繰り返しても、電圧はほぼ一定だった(図1)。30サイクル目で負極を調べたところ、デンドライトは確認されなかった(上の写真)。しかも、1C(1時間で充電)という急速充放電を5500サイクル繰り返しても、短絡は起こらず、5500サイクル後の容量は、初期容量の90%以上を維持したとする。「5Cや10Cという超急速充放電でも1.5V以上の電圧を維持した」(盛満氏)。

(a)従来型は6サイクル目で異常値に
(a)従来型は6サイクル目で異常値に
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(b)新型負極は5000サイクルで異常なし
(b)新型負極は5000サイクルで異常なし
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(c)1Cという急速充放電でも電圧は一定
(c)1Cという急速充放電でも電圧は一定
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図1 サイクル5500回超でも電圧一定
Zn-Ni2次電池で従来型の不織布セパレーターのセル(a)と、新型のZn負極を用いたセル(b~c)で充放電サイクル時の電圧の変化などを比較した。従来型は、6サイクル中の充電で過電圧が増大し、7サイクル目の充電ではデンドライトの短絡による電圧の不安定化が生じた。一方、今回開発したZn負極を用いたセルは、5500サイクル後でも充電電圧、放電電圧共にほぼ一定である。(図:同志社大学)

 一方、不織布セパレーターを用いた従来型のZn-Ni2次電池ではわずか6サイクル目で電圧が異常値になり、7サイクル目には成長したデンドライトが正極に達する短絡が起こって、利用不可になった。