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経済産業省が2020年1月16日に開催した、産業アーキテクチャーを主題にしたセミナーで講演する日本経済団体連合会会長の中西宏明氏(写真:経団連)
経済産業省が2020年1月16日に開催した、産業アーキテクチャーを主題にしたセミナーで講演する日本経済団体連合会会長の中西宏明氏(写真:経団連)
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 経済産業省は2020年5月末ごろに、所管する独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)に「産業アーキテクチャ・デザインセンター(仮称)」を設立する。ここで言うアーキテクチャーとは、システム全体の構造の見取り図や俯瞰図を指す(詳細は後述)。

 同センターは政府から依頼を受けて重要分野のアーキテクチャー設計や、民間企業が設計したアーキテクチャーのレビューや標準化の支援、人材育成などを担う。同省は令和2年度の概算要求額で、「アーキテクチャの設計・実装支援」に16億円の増額を要求し、2019年12月に予算案として12億5000万円が閣議決定されている。

Society 5.0時代に備える

 日本政府は未来社会像として「Society 5.0」を掲げ、実現を目指している。Society 5.0はサイバー空間と現実空間を高度に融合させた「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」によって、経済発展と社会課題の解決を両立する、人間中心の社会と定義されている。

 ただし、Society 5.0は従来の延長で実現できるほど容易なものではない。CPSでは、多くの機器や設備などが人を介することなくリアルタイムにデータを連携したり、AI(人工知能)が独自に判断したりする。しかも、多数の利害関係者が参加できるオープンなシステムになる。このように複雑なシステムを高度な信頼性を担保しながら社会実装するには、「アーキテクチャー」が不可欠になるというわけだ。