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台湾VISION AUTOMOBILE ELECTRONICS INDUSTRIALのWebページ(図:同社)
台湾VISION AUTOMOBILE ELECTRONICS INDUSTRIALのWebページ(図:同社)
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 中国の湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的な流行)は、世界の電子機器産業の足元を大きく揺さぶった。スマートフォン、パソコンなど電子機器の製造を支えるEMS(電子機器の受託製造サービス)/ODM(指定された製品の設計・製造サービス)の工場を長期間操業停止に追い込み、サプライチェーンを寸断した。この災禍は、米中貿易戦争で拍車がかかっていた「チャイナプラスワン」、つまり中国以外の国にも工場を設けてサプライチェーンの寸断リスクを分散する戦略をさらに加速させそうだ。今、電子機器の製造現場では何が起きているのか。日本の大手通信事業者などを顧客に持つ台湾のEMS/ODMであるVISION AUTOMOBILE ELECTRONICS INDUSTRIALのVice President, Marketing & RD DivisionのChung-Hsiao Lo(愛称:Paul)氏に聞いた。(このインタビューはオンラインで2020年4月30日に実施した:聞き手=内田 泰)

最初にVISION社の事業内容などについて概要を教えてほしい。

図1 「脱中国は急加速」と話す台湾EMS幹部
図1 「脱中国は急加速」と話す台湾EMS幹部
VISION AUTOMOBILE ELECTRONICS INDUSTRIALのVice President, Marketing & RD DivisionのChung-Hsiao Lo氏。(写真:同社)
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Paul 弊社は台南市に拠点を持つEMS/ODMだ。工場も台南にある。台湾以外に拠点を持っていない。スマートハウス向けのIoTデバイスや、自動車の安全性・セキュリティーを高めるためのセンサー類、機器の設計・製造を担当している。顧客は日本の大手通信事業者のほか、ホームセキュリティー企業や自動車関連企業などだ。

新型コロナで御社はどのような影響を受けたのか。

Paul さまざまな要素がある。(1)それぞれの顧客の国内需要が減退し、経済面で悪影響が出た。(2)製造に必要な部品の供給に一部遅れが出た。(3)製品が完成してもそれを顧客に輸送する航空便や船便の本数が減っていて大きな調整が必要になった。さらに、(4)顧客の支払いのタイミングにも遅れが出ていて、金融取引に無視できない影響が出ている。

部品価格に影響は出ているのか。

Paul 価格が不安定になっている。部品サプライヤーの納期遅れなどの影響で、「スポット価格」が2〜3倍に跳ね上がっている部品もある。抵抗やトランジスタなどのディスクリート部品やICといった製品だ。

 EMS/ODMは、製品仕様が決まったら顧客が指定した部品を使う必要がある。そのために、通常は部品を正規のルートから大量に購入するが、部品の供給が不足している場合はオープンマーケット、例えば電子部品の電子商取引サイトである「Digi-key」などで別途調達する。

 オープンマーケットでは、ただでさえ正規より価格が高いのに、新型コロナの影響で需要が集中しているため価格がさらに上がっている。しかし、EMS/ODMには「パーツがないから作れない」という言い訳は許されない。スポットでも部品を必死に探して対応する。