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ハピネスプラネットCEOの矢野和男氏(出所:ハピネスプラネット)
ハピネスプラネットCEOの矢野和男氏(出所:ハピネスプラネット)
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 日立製作所は2020年7月20日、人間の「幸福度」を加速度センサーで可視化し、それを活用して新事業を創出することを目的とした新会社を設立した。名称はハピネスプラネット(東京・国分寺)。新会社CEOの矢野和男氏は、日立製作所フェローとして幸福度測定の開発を15年ほど続けている。ウエアラブルセンサーを日々身に着けて自ら測定し、同研究分野の最先端を走ってきた。「幸せそのものに関わる事業は世界に類を見ない。これまでに得た知見を新会社の事業で生かす」と話す。まずは働き方改革をはじめとする企業のマネジメント支援などに適用し、将来的にスマートシティーや金融などに事業領域を拡大することを目指す。

センサーで見える人間関係

 人の幸せという感情をどのように指標として表すのか。矢野氏は「さまざまなデータを取得し、人々の行動と照らし合わせてきた。その結果から加速度センサーだけで、人や組織の状態に関わる行動データを抽出できるようになった」と説明する。

 具体的にはスマートフォンなどが搭載する加速度センサーで、ユーザー個人の行動データを収集し、そこから推測する。例えば雑談で頷く、会議中に他の人と動きを合わせるなど非言語コミュニケーションに関わるデータなどを利用すると、組織内の人間関係の良し悪しが分かるという。「幸せな集団には身体の動きに特徴がある。無意識な動きを計測すれば、それが幸せな集団かどうかを可視化できる」(矢野氏)。ユーザーには幸せを生む無意識な行動を指標「ハピネス関係度」として示すようにした。

 幸福度向上を狙った大規模な実験も実施している。日立製作所やブリヂストン、電通など83社・4300人を対象に実施した。具体的には、幸福度の測定や幸福度を高めるために運動や会話などを促すスマートフォンアプリ「Happiness Planet」を利用し、2018年から2019年にかけて計4回測定した(図1)。1回の実験の前後でアンケートを取っており、回答を比較すると、「心の資本(個人の心的状態)」を示す数値が33%向上するなど被験者が前向きな気持ちになったという。

図1 スマートフォンアプリ「Happiness Planet」の画面
図1 スマートフォンアプリ「Happiness Planet」の画面
個人・組織の「ハピネス関係度」があり、画面は個人の値を示している(右)。平均的な値は8で、9を超えると上位層になる。幸福度を高める行動などがスマホ画面に映る(左)。(出所:ハピネスプラネット)
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