今後成長が期待される睡眠関連のビジネスや睡眠の研究に、大きなインパクトをもたらす可能性があるサービスが登場した。筑波大学発のベンチャー企業S’UIMIN(スイミン)が、2020年9月1日に開始した睡眠計測サービス「InSomnograf」だ。ポイントは、精度が高い臨床レベルの脳波による睡眠計測を、自宅で誰にでもできるようにしたことだ。
ここ数年で、米Appleや米Fitbitなどが販売する、加速度センサーを内蔵するスマートウオッチ(活動量計)の普及によって、「睡眠の可視化」はすっかり市民権を得た。ところが、加速度センサーによる睡眠の可視化には精度の問題があるという(図1)。「活動量計などは、睡眠・覚醒を体の動きから推定しており、入眠や起床の時間は正確に測れるが、睡眠の質に関しては限られた情報しか得られない。我々の経験上、睡眠の質については脳波計測が不可欠だと考えている」とS’UIMIN代表取締役社長の藤原正明氏は話す。
睡眠には、「レム睡眠(眼球の速い動きを伴う)」と、深さに応じて3~4段階からなる「ノンレム睡眠(眼球が動かない)」、「覚醒」というステージがある。質の見極めには、睡眠の経過時間に応じたステージの判定などが必要になる。「例えばレム睡眠時の眼球の動きは脳波ならデータを取れるが、体動を検知する活動量計では測れない」(同氏)。