ソニー傘下の英Hawk-Eye Innovations(ホークアイ・イノベーションズ)が展開するスポーツ向けのトラッキング(追跡)システムが、活躍の舞台を広げている。米プロ野球のMLB(大リーグ)では、全30球団のスタジアムなどに導入され、2020年7月に開幕したシーズンからプレー分析サービスなどで活用され始めた。日本のプロ野球でも、東京ヤクルトスワローズの協力の下、本拠地である明治神宮野球場に導入され、20年シーズンに稼働した。
Hawk-Eyeが提供するシステムは、複数台のカメラの映像をリアルタイムに分析する。これまでテニスのライン判定「チャレンジシステム」などに使われてきた。現在、同社のシステムは、世界90カ国、25種類以上の競技において、年間3万回以上の試合で使われている。
MLBではスタジアムに、高フレームレートの4Kカメラを12台設置し、ボールや選手の動きをミリ単位の精度で光学的に捉えてリアルタイムに解析し、データ化している(図1)。投球についてはリリース時のスピード、ボールの回転数、回転方向、さらに打球のスピード・方向・飛距離など取得するデータは多岐にわたる。
なお、12台のカメラのうち、多くの球場ではピッチャープレートからホームベース間のトラッキング用に100フレーム/秒(fps)のカメラを4台使用し、残りの50fpsの8台のカメラでフィールド上の選手の動きなどをトラッキングしている。
実はMLBでは「Statcast(スタットキャスト)」と呼ぶデータ解析システムを子会社が開発し、15年までに全球場に導入して運用している。