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940nmの近赤外光に対して、「PDE(Photon Detection Efficiency)」を14.2%まで向上。(出所:ソニー各社の研究グループとIEDM)
940nmの近赤外光に対して、「PDE(Photon Detection Efficiency)」を14.2%まで向上。(出所:ソニー各社の研究グループとIEDM)
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 ソニーが、自動運転の中核となるLiDAR(Light Detection and Ranging)部品の開発に参入する。半導体素子の学会で、近赤外光の受光素子について発表した。イメージセンサーに加えてLiDAR部品を手掛けることで、自動車事業でさらに攻勢をかける。

 ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリングが、受光素子となるSPAD(Single Photon Avalanche Diode:単一光子アバランシェダイオード)を試作した成果について、2020年12月12~18日に開催された「66th International Electron Devices Meeting(IEDM 2020)」で発表した。

 スマートフォン向けの3次元(3D)センサーや自動車用の長距離LiDARでは、ToF(Time of Flight)方式で測距するのが一般的である。近赤外のレーザー光を照射し、対象物で反射して戻ってくるまでの時間を算出して、距離を測る。ToF方式は、測定方法によって間接方式(インダイレクトToF、iToF)と直接方式(ダイレクトToF、dToF)の2つに大別できる。このうち自動車向け長距離LiDARで多用されるのがdToFである。ソニーはdToF向けの受光素子として高感度なSPADを試作した。SPADを2次元にアレー状に配列して距離画像を取得する。試作したSPADの画素サイズは10µmである。回路部は40nm世代のCMOS製造プロセスで作製した。