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冷却プローブ上の超電導プロセッサー(写真:横浜国立大学)
冷却プローブ上の超電導プロセッサー(写真:横浜国立大学)
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 脱炭素時代の到来に合わせて、コンピューターの消費電力を圧倒的に低減する技術が登場してきた。それが「超電導コンピューター」だ。横浜国立大学 工学研究院 知的構造の創生部門 教授の吉川信行氏の研究室は、4ビット動作の超電導RISC型マイクロプロセッサー「MANA 1」を開発した(図1)。動作周波数は5G~10GHz前後で、消費電力は冷却用電力を別にした場合、一般的なSi半導体に基づくマイクロプロセッサーの約100万分の1以下と猛烈に低い。

MANA=Monolithic Adiabatic iNtegration Architecture Processor。
(a)ダイの写真
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(b)プロセッサーの構成
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図1 4ビット動作超省電力の超電導プロセッサーを実現
ダイの寸法は1cm角。ワード長は4ビット、命令は16ビットを利用。チップ全体でジョセフソン接合(JJ)を、産業技術総合研究所の超電導回路用1µmプロセスで2万個超集積した。動作周波数は5G~10GHzで、演算速度は200MOPS。消費電力は冷却用電力込みで10µW。希釈冷凍機などは使わず、液体ヘリウムの温度4.2Kで動作する。(写真と図:横浜国立大学 吉川研究室)