全3031文字
PR
試作品で撮影した画像サンプル(出所:ISSCCとソニー)
試作品で撮影した画像サンプル(出所:ISSCCとソニー)
[画像のクリックで拡大表示]

 ソニー(ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)はダイナミックレンジ(DR)が124dBと広く、かつ撮影速度が250フレーム/秒(fps)と高い、新しいイメージセンサーを試作した(図1)。これは、一般的なCMOSイメージセンサーでは達成が難しい成果である。その詳細について、2021年2月開催の半導体関連の国際学会「2021 International Solid-State Circuits Virtual Conference(ISSCC 2021)」で発表した。高速移動体を撮影してもブレない「グローバルシャッター(GS)」に対応し、例えばマシンビジョン用途を想定している。

図1 今回試作したSPADイメージセンサーの写真と概要
図1 今回試作したSPADイメージセンサーの写真と概要
受光素子にはSPADを用い、一般的なCMOSイメージセンサーでは達成が困難な性能を達成した。具体的には、120dB以上のDRと250fpsのフレーム速度を両立させた上、グローバルシャッターに対応した。(出所:ISSCCとソニー)
[画像のクリックで拡大表示]

 受光素子にはSPADを用いる。SPADでは、入射した1つの光子(フォトン)から雪崩のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用するため、感度が高くて暗所での撮影に向く。SPADの利用により、一般的なCMOSイメージセンサーでは達成が困難な、120dB以上のDRと250fpsと高いフレーム速度を両立させたグローバルシャッター対応品を実現できた。120dBというDRは、月明かり程度(0.1lux)から太陽光下(10万lux)まで撮影可能で、実用上、ほとんどすべての暗がりから明るい場所までを撮影できる水準といえる。

 加えて、広DR、高いフレーム速度を実現しつつ、ノイズが低い点も特徴である。SPADイメージセンサーの場合、デジタル読み出しのために「リードノイズ」は原理的に0となるという。加えて、今回の試作品は、一般的なフォトダイオード(PD)の暗電流に相当する「ダークカウント」を0.59カウントと低く抑えた。これは、0.77ermsに相当する低い値とする。