「(資本提携から包括的協業となった)NECのケースとは異なり、今回の富士通との協業は当初から、既存のコンピューターを変える、光半導体を作ろうという明確な狙いがあった」─。2021年4月26日、富士通と業務提携を正式発表したNTT社長の澤田純氏はこう打ち明けた(図1)。両社は、NTTが研究開発する光電融合技術と、富士通の持つ半導体実装や基地局などの技術、スーパーコンピューター「富岳」といったコンピューティング技術を活用。NTTが2030年代をターゲットに実現を目指す次世代情報処理基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」の実現に向けてタッグを組む。
これまでNTTは、2020年に資本提携したNECと同様に、富士通に対しても秋波を送っている事実を隠さなかった。富士通が持つコンピューティング技術や、半導体の実装能力がIOWN構想を実現するために必要だったからだ。