電気自動車(EV)向けの車載電池の大規模量産計画とそのための兆円単位の投資発表ラッシュが続いている。フランスRenaultグループと日産自動車は2021年6月末と同7月1日に、フランスで約24億米ドル、英国で約14億米ドル、計38億米ドル(約4200億円)の規模のLiイオン2次電池(LIB)製造工場を建設すると発表した。2030年までに合計で最大で年産49GWhの生産規模に拡大する。
総投資額は計20兆円超えに
こうした発表を少し遡ると、この約2週間前に米General Motorsが、EV向けLIBの製造に350億米ドル(3.9兆円)を2025年までに投資すると発表した。同社は2020年3月に200億米ドルを投資すると発表していたが、150億米ドル積み増した格好だ。
米Ford Motorも2021年5月に、2025年までに220億米ドルを投じてLIBの生産規模を増やし、2030年時点で年産240GWhにすると発表。ドイツVolkswagen(VW)は2021年3月、約140億米ドルを投じて2030年までに欧州でのLIBの生産規模を年産240GWhにすると発表した注1)。
生産規模でこれらをさらに1桁上回るのがTeslaだ。Teslaは2020年9月に、2022年時点で内製の電池生産を年産100GWh、2030年時点では3TWh(3000GWh)に拡大すると発表した。投資総額は明らかにしていないが、15兆円以上にのぼるとみられる。
内製に傾くTeslaを別にすると、これらのEVメーカーは、場合によっては複数の大手LIBメーカーと提携し、電池の生産を委託しているケースが多い(図1)。請け負う電池メーカー自身も超大型の生産計画を相次いで発表している。例えば、世界最大の電池メーカーである中国CATLは2021年1月、2025年までに同社のLIBの生産規模を年産1.2TWh(1200GWh)にすると発表した。韓国LG Energy Solutionは2023年までに年産230GWh規模、韓国SK Innovationは、2030年までに年産500GWh規模でLIBを生産する計画だ。冒頭のRenaultグループの電池生産を担当するのは、日産自動車が2019年に中国Envisionグループに売却した中国Envision AESC(旧AESC)である注2)。