日本風力発電協会(JWPA)は2021年10月7~8日、北九州市で、洋上風力発電についての日本の取り組みや今後を報告する国際会議「世界洋上風力サミット」を開催した注1)。同会議では、40年までに計30G~40GWの洋上風力発電システムを国内導入するという日本の計画に向けて、洋上風車の国産化や、発電した電力を送るための送電線の増強などが課題として浮上した。
サミット冒頭、「洋上風力導入に関する現状と課題」という議題で基調講演したJWPA代表理事の加藤仁氏は、日本では洋上風力発電システムを30年までおよそ年間1GWのペースで増やした後、導入ペースを速めて40年までに計30G~45GWのシステムを導入するという資源エネルギー庁などの計画において、「今後10年間で産業の基盤を形成し、2030年以降早期に国際競争力を持つ国内産業を育成すべきだ」と述べた。
風力発電システムはタービンやブレード、タワー、そして増速機などの部品点数が計1万~2万点と多く、これらの多くを国内で内製すれば、自動車製造業に似た裾野の広い産業となる。上述の資源エネルギー庁の計画でも、「40年に国内調達比率60%の達成」が目標になっている。
加藤氏は、現状の国内の洋上風力発電の導入ペースは、30年までの導入計画にほぼ沿っており、30年に約10GWという目標は達成できそうだ、という見方を示した。国内調達比率の実現については、これまで国内に関連産業がなかったことから、「(部品部材の)サプライチェーンを一から構築することが必要で、この10年間に産業基盤をいかに固めるかが目標達成の成否を握っている」と指摘した。
また、国内でこうした洋上風力事業を担う主要メーカーとして、東芝、日立造船、JFEホールディングス、三菱造船、住友電気工業、東レ、五洋建設などを挙げた。