全2125文字
PR
作成したテストチップのダイ写真。(図:ルネサス エレクトロニクス)
作成したテストチップのダイ写真。(図:ルネサス エレクトロニクス)
[画像のクリックで拡大表示]

 ルネサス エレクトロニクスは、Bluetooth Low Energy(BLE)通信向けRF回路に関する2つの新技術を開発し、そのテストチップと共に半導体の国際学会「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference) 2022」で発表した。同社によれば、スマートフォンとの連携に向けて電子機器にBLE通信機能を搭載したいという要望が増えているものの、無線通信に明るい機器設計者がいない場合、その敷居は意外に高いという。今回の2つの技術を適用したBLE回路をマイコンなどに集積すれば、この敷居を下げることができそうだ。

 開発した2つの技術は、(1)アンテナのインピーダンスとの整合を取る「On-chip Antenna Impedance Tuner:AIT」と、(2)ベースバンド信号生成向け基準信号の位相を自己補正する「Self IQ-phase Correction:SIQC」である。(1)のAITによって、アンテナとのインピーダンス整合のための外付け回路が不要になり、機器の基板面積を小さくしたり、基板設計を容易にしたりできる。(2)のSIQCは、既存の補正回路に比べて約12分の1の寸法になり、BLE無線通信回路(トランシーバー)の小型化に寄与する。小型のトランシーバーならば、安価なマイコンへの搭載が可能で、BLE通信を利用しやすくなる。

 同社は、これら2つの新技術を実装したBLEトランシーバー回路のテストチップを22nm CMOSプロセスで作った。トランシーバー回路のチップ面積は0.84mm2、消費電力は受信時3.6mW/送信時4.1mWといずれも小さく、実用的なことが確認できたという(図1)。なお、今回の2つの技術は、基本的にプロセス技術には依存しないため、22nmより微細なプロセス、例えば、16/12nmのFinFETで製造するチップにも適用できる。「微細になるほど特性のばらつきが大きくなるので、今回の技術を使う優位性が高まる」(同社)。以下で(1)のAITと(2)のSIQCの概要を説明する。

図1 チップ面積と消費電力の両方を削減
図1 チップ面積と消費電力の両方を削減
(図:ルネサス エレクトロニクス)
[画像のクリックで拡大表示]