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 ルネサス エレクトロニクスの柴田英利氏(代表取締役社長 兼 CEO)は、メディアと市場アナリストに向けたオンラインイベント「Progress Update」(2022年9月28日)に登壇し(図1)、リストラの連鎖から成長路線に転じた軌跡を語った。さらに、2030年に向けた目標も明かした。同年には時価総額を現在の6倍にするなどとしている。

図1 登壇した柴田 英利氏
図1 登壇した柴田 英利氏
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 Progress Updateは同社の方針や戦略を語る秋のイベントで、同じ趣旨の春のイベント「Analyst Day」と同様に年1回開かれている。過去のProgress UpdateやAnalyst Dayでは、リストラ(人員削減や工場閉鎖)、企業買収、自然災害や火災による工場の被害、全世界的な半導体不足、新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻による影響など、語るべき(すなわち、メディアや市場アナリストから質問が出そうな)トピックがあった。それに対して今回は、半導体不足が山を越えた感があったり、そのほかの懸案事項が解決したり、あまり変化がなかったりで、「以前のProgress UpdateやAnalyst Dayの時に比べると大きな事象がない」(柴田氏)状態だった。

 そこで柴田氏は今回、同氏がルネサス入りした2013年から現在までの同社の変遷を振り返ったり、少し先を見据えた目標などを紹介したりした。「これまで話してきた内容の繰り返しもある」(同氏)としたものの、まとまった形で過去の軌跡を語ったり、8年先のような長期展望を見せたりしたことは、記者の記憶ではほとんどない。この記事では、それらを紹介する。