半導体回路技術のオリンピックとも呼ばれる国際学会「2023 International Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2023)」(米国サンフランシスコ、2023年2月19日~23日)で、NANDフラッシュメモリーの技術が大きく前進する。ISSCCの極東委員会が2022年11月17日に東京で開催した事前会見で明らかにした。
具体的には、米Intel(インテル)が、1チップの容量が1.67Tビット、記録面密度が23.3Gビット/mm2という技術を発表する(図1)。
1年前のISSCC 2022では容量1.33Tビット、記録面密度15.0Gビット/mm2という値がそれぞれ最高値だった注1)。後者は米Western Digital(WD)とキオクシアの発表である。今回、この2つの記録をIntel1社で大幅に更新した。
Intelの技術の最大のポイントは多値度の高さだ。メモリーセル1つで5ビットを記録するPLC(Penta-Level Cell)を、ISSCCで発表されたNANDフラッシュメモリーとして初めて実装した。ただし、PLCは競合メーカー各社が研究しており、キオクシアのように7ビット/セルの技術を別の学会で発表した例もある。もっとも、7ビット/セルは液体窒素でセルを77K(-196℃)まで冷やす必要があり、特殊用途向けだ。
多値度を高めると一般にはデータ保持時間が短くなる。どこまで実用的な技術かどうか、詳細は実際の発表を待つ必要があるが、IntelがISSCCで発表するというのはかなりの自信の表れだろう。