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 米国で2022年8月に成立した、再生可能エネルギーを推進する「歳出・歳入法(インフレ抑制法)」への対応を巡り、韓国Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)幹部の発言が注目を集めている。インフレ抑制法は、北米で最終組み立てした電気自動車(EV)を対象に、補助金(税額控除)を支給する法律である。韓国で車両を生産して北米に輸出している現代自動車グループのEVは補助金対象外となり、北米での販売が不利になる。同社幹部は2025年に稼働開始予定の米ジョージア州工場への投資見直しもちらつかせる。

 公正競争を確保できなければ、米ジョージア州の工場投資を見直す可能性もある─。現代自動車北米法人の幹部が米インフレ抑制法の対応を巡って、このような発言をしたと韓国メディアが報じ、注目を集めている。

 インフレ抑制法は、北米で最終組み立てしたEVを対象に、補助金を支給する法律だ。韓国で車両を生産して北米に輸出している現代自動車グループや、韓国Kia Motors(起亜自動車)などは補助金の対象外となる。このままでは現代自動車らのEVは2023年から補助金対象外になるため、他のメーカーより価格が高くなる恐れがある。

 現代自動車や起亜自動車のEVは北米のEV販売台数でトップ3に入るなど好調だ。しかし株式市場は、インフレ抑制法によって両社の販売台数が落ちるとみており、株価は下落を続けている。

 インフレ抑制法が現代自動車の成長を阻害するのであれば、同社も黙っていないというメッセージとして打ち出したのが、米ジョージア州に建設中のEV専用工場「Hyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)」の投資見直しの可能性である。