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 キヤノンは、画素領域ごとに露光条件を自動で最適化する裏面照射積層型の監視用途向けCMOSイメージセンサーを開発した。フレーム間の画像を比較することで、輝度情報と動きの情報を取得し、チップ内のCPUが複数の露光条件から最適な条件を自動で反映する。

 一般的なイメージセンサーのダイナミックレンジが70dB程度なのに対し、148dBを実現しており、領域ごとに適切な条件を用いることで、明暗のコントラストが強いシーンも再現することができるという(図1)。単画素のサイズは3.2µmの1型センサー、画素数は約1260万(4152×3024画素)、フレームレートは約60fps。発売時期については未定である。

図1 新センサーの撮影例
図1 新センサーの撮影例
通常のセンサー(b、c)では昼間の駐車場ではナンバープレートと車内の明暗差が大きく白とびや黒つぶれが発生する。新センサー(a)はダイナミックレンジが148dBと大きいため、車内の様子とナンバープレートを同時に認識できる(出所:キヤノンの資料に日経クロステックが一部加筆)
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 一般に明暗差が大きいシーンでは、白とびや黒つぶれが発生する問題がある。こうした課題を解決するには広いダイナミックレンジを有するイメージセンサーが必要になる。ダイナミックレンジを改善する方法の1つに複数回露光という技術がある。複数回露光は露光時間を変えることで、輝度の高い画像と、低い画像を別々に取得し、合成することで明暗差を補正する手法である。

 しかし、複数回露光は露光時間の違う画像を組み合わせるため、動きのある被写体では、実際に存在しない形が映し出される「アーチファクト」と呼ばれるノイズが発生し、AI(人工知能)での画像解析などを困難にする。また、合成画像を作る際に暗時ノイズが問題となる。